2月12日(水)
ベルの機嫌が悪い。
小学校から帰ってきたわたしを見るなり、いつもと違う声でうなり始めた。毛を逆立ててフーだのシャーだの言ってるので、「どうしたの」って近寄ろうとしたら思い切りひっかかれた。部屋のすみっこまで逃げてから、じっとわたしのほうをにらんで動かない。まったく、飼い主に向かってなんて態度だ。
いつだったか、外で野良猫をなでてから帰ってきたときも、こうやってひっかかれたことがある。他の猫のにおいがつくとダメなのだ。だけど今日は猫に触ったりなんかしてない。いったい何がベルの機嫌を損ねたんだろう。
夕飯を食べているとき、いつか美世ちゃんが言っていたことを思い出した。猫には人間に見えないものが見えているらしい。たしかにベルも、ときどき何もないところに向かってうなったりパンチしたりしている。ひょっとしたら今日も、ベルには何かが見えていたのかもしれない。
「ベル、おまえ、何か見えてるの?」
そう尋ねてみると、ベルは部屋のすみっこから「フシャー」とだけ答えてくれた。やれやれ。明日には機嫌が直っていることを祈ろう。
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