2月9日(日)
今日は、おばあちゃん家に夕飯を届けに行った。
いつもの信号を渡るとき、なんだか寒いなと思ったら、信号機の上に誰かが座っていた。顔は黒くにじんでいてよく見えなかった。目を合わせないようにして急いで渡って、振り返ったらもういなかった。
おばあちゃんは、わたしがまだ小さいからだと言う。わたしがもう少し大きくなると、体が新しい命を生み出すために「魂がこの世に根を張る」らしい。(魂って漢字は知らなかったから、ちゃんと国語辞典で調べた)つまりわたしの魂はまだこの世に根を張ってなくて、だからあの世に近いものが見えることもあるんだって。
おばあちゃんの言っていることは、ときどきわからない。
「大丈夫よ、おじいちゃんが守ってくれてるからね」って言うけど、わたしはおじいちゃんを写真でしか見たことがない。つまり、おじいちゃんもわたしを見たことがないはずだ。どうやって守ってくれているんだろう。だけど、にこにこしながら大丈夫よって言われたら、本当に大丈夫な気がしてくるから不思議だ。
帰り道は、おばあちゃんが家までついてきてくれた。信号を渡るときも手をつないでくれたから、少しも怖くなかった。
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