2月10日(月)

お母さんはテレビがあまり好きじゃない。小さい頃から「テレビを見るぐらいなら本を読みなさい本を」って言われてて、流行りのドラマだって見せてもらえない。わたしがそれについて文句を言うと、いつも「大人になったらお母さんに感謝するようになるから」って言われる。本当だろうか?


クラスでは、やっぱりみんな昨日のドラマの話をしていた。サトウタケルかサトウジロウのどっちか忘れたけど、すごくかっこいいらしい。月曜日はいつもそうだ。見ていないわたしは話に全然ついていけなくて、少し悲しくなる。


でも、テレビの話題で盛り上がることはできないけど、隣の席の美世ちゃんと本の話をすることはできる。美世ちゃんは読書家で、いつも分厚いメガネが鼻からずり落ちそうになっている女の子だ。読んだ本の話をしたり、これが面白かったよっておすすめしたり。美世ちゃんがおすすめしてくれる本が、面白くなかったことなんて一度もない。


わたしもたくさん本を読むほうだけど、テレビがあったらテレビのほうを見てしまうだろうなって思う。だけど美世ちゃんは、たとえテレビが目の前で大音量でドラマを流していても、気にせず本を読み続けるだろう。だってこの前、授業が始まっても本を読み続けてたせいで、ろう下に立たされてたぐらいだから。


「実はね、ろう下に立ってるとき、私こっそり続きを読んでたんだ。あの本も面白かったよ」そう言って笑える美世ちゃんは、すごい。すごいんだけど、なんというか、ちょっと怖い。




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