底より響け――これは母たる海の第一楽章

『色』がタイトルに入り、全四篇で綴られるという短編連作の第一篇。

舞台になるのは、散乱する光に揺られて栄える海底都市。

海――それは人類種にとって、地球上で最も遠く未知なる場所。

最深度は一万メートルを超え、世界最高の山エベレストが三つ埋まってなお有り余る深さと言われています。

けれど、その未知なる場所に存在する海底火山の物質は、生命誕生の謎を解く鍵になるとも言われています。

そんな恐ろしくも興味深い、生命創生の褥で綴られるのは濫觴の詩。

進化してすでに過去となったはずの場所に追いやられた人類種、その一人である少年は見ることの叶わぬ『空』を、水面のその先を熱望し、仲間である少女と共に脱出を図り――

水面の先、光の揺りかごを超えることができたのか、どうかあなたの目で確かめてみてください。

ぜひご一読を。

そして、その先を待望しましょう。

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