「群青の向こう側」に思いを馳せる遠未来SF
- ★★ Very Good!!
閉じた世界と外に憧れる少年、と言えばSFの鉄板モチーフのひとつでしょう。
少年期のアンバランスな心と歪な世界の在り方がリンクして、狂おしい焦燥を感じさせます。
この都市ではきっとありふれた鬱屈。程度の差はあれ多くの大人が経験していて、だから深刻に顧みられることもない。少年の感じるもどかしさはいかばかりか。
この海底に住まう人々、往来に差す人造の陽光、在りし日の世界を今に伝える博物館、都市を覆う群青……想像して、ふり返って、物語の短いのに驚きました。
これから描かれる空間と時間の奥行きに、期待せずにはおれない作品です。