キスに至る道程に 少女たちの素肌が露わとなる

軽妙な文章でありながら、人物には確かな肉質を感じられる。
それなりに長い文章でありながらここまで読ませる力を持つのは、この二点が読者を世界の中に引きずり込んでいくためだろう。

そして、ダメな主人公に対して、愛着を感じるのは他者の欠けた部分で自らの欠けた部分を埋めたいと思う人の性質を刺激しているからではないだろうか。
それは登場する女性たちも同じで、それを受け容れる者もいれば拗らせる者もいる。

そうした意味で、本作は人の在り方見事に描いた作品でもある。

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