酒に歴史あり 歴史に人在り 酒の彩る人の味

酒は人によって醸され、人の和を醸す。
それを体現した本作は、人ごとに酒を定めてその根に在るものを掘り起こそうとする。

酒に貴賎なしという呑兵衛の言葉は、モエ・ド・シャンドンとワンカップが居並ぶ構成に表れ、それは、人に貴賎なしという尊い思想に至る。

惜しむらくは、その一杯である必然性が砂上の楼閣のように見えるところであろうか。
いや、それとも単純に物語として楽しめぬ我が呑兵衛としての在り方故であろうか。

先に待つ一杯に思いを馳せながら、その問いを答えを求めるのはあまりに酔狂が過ぎるのかもしれない。

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