一輪の花のごと 異形を現に咲かせる

伝奇ビジュアルノベルである月姫がリメイクされると発表された昨年末、その間隙を埋めるような作品に出合えるとは想像もしなかった。

本作は確とした伝奇としての体裁を成しながら、それを軽やかな文体で書き綴っている。
それは、大都会の中心でありながらこの世の怪異を集めたような戦いにも表れており、現代ファンタジーの愉しみを存分に味わわせてくれる。
まだ始まりのお話ということであるが、この先に待つものと筆者のさらに豊かな秒差を期待させられる。

二〇〇〇年代初頭のビジュアルノベルに没頭した諸兄にぜひ読んでいただきたい作品である。


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