ひとつひとつがファーストキス。

『女性と接触すると激しく腹を下す』という何とも世知辛い呪いを受けてしまった超絶イケメンの主人公が、元凶であるパリピなテディベア()とともに解呪に向けて奔走するラブコメディ。

一見ぶっ飛んだ設定に見えながら、テディベア()と邂逅するシーンの導入や、初めてのキスを経てから明かされる事実など、序盤から物語構成がとても丁寧だと感じました。
ギャグパートも軽快。好色で知られる偉人やら芸能人やらが言っていたような迷言を交えつつも、それらを古臭く、あるいはクサく見せないようなセリフ回しをされていて、心地よくにやにやできます。

そしてタイトルにもあるように、本作の見せ場は「キス」。
これまで女性を避け続けていた主人公がパリピの助力を受けながら必死に口説こうとするシュールさをベースにしながら、ヒロインたちの「どうしてキスをする決断に至ったのか」という感情が差し込まれることで、テンポよくムードを作り込んでいく筆力はお見事です。
見出しにも記したとおり、ひとつひとつがファーストキスなのだと思わされました。決して「次の女性とのキス」ではなく、今の相手とする初めての、大切な一瞬です。
だからこそ主人公は、騙すようにしてキスをすることに胸を痛めていきます。
上辺の言動はこなれていきながらも、まだまだ初心で、けれど心優しい。そんな主人公の『次のファーストキス』、楽しみにしています。



あと紺奈かわいい。

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