ゆったり、のんびり、山登り。一歩ごと近づいていく距離にきゅんと来ます!

音楽ではアンビエント、音声作品ではフォーリーサウンドと呼ばれるほど、大きなジャンルとなっている環境音。
自然の音に耳を澄ませてのーんびりするというのも素敵ですが、本作品ではなんと、その中を歩いちゃいます!
花言葉に想いを馳せたり、カモシカに自分たちを重ねてみたり。後輩ちゃんと並んで歩くからこそ、見え方の変わる自然。
古来より人が自然の変化に恋を詠んだ理由がわかる気がします。

何より後輩ちゃんがほんとうに可愛い!
ちょっとメタ的な見方になるのですが、作者様が女性、それもライト文芸・キャラ文芸肌の方とあってか、なんというかこう、すごく可愛いのにあざとくないんです。女性向け作品のヒロインが醸す特有のさっぱり感。グレープフルーツの飴のような口当たり。
そこに大自然という舞台が噛み合うことで後輩ちゃんへナチュラルにフォーカスが当たって、よりリアリティや没入感が増していたように思います。

そこから放たれる好きアピールの破壊力は抜群!
人生は山あり谷あり――なんて申しますが、山登りで深めた絆があれば怖いものナシ!

まるで実際に山歩きをしたようにじんわり温かな読後感に包まれる、素敵な作品でした。
ありがとうございました!