前章では鏡堂ひとりだったところに、天宮さんが加わってのサスペンスホラー第二章。楽しく読ませていただきました。
本シリーズでは異能力が物語のキーとなっておりますが、その能力がいかにして発現したかというところも丁寧に描写されていて、リアリティがぐっと深まっております。
そして本章では、そんな能力の生い立ちが重要となります。
現在三度ほど書き直して、どうあってもネタバレを回避できそうにありませんでしたので、これ以上は語らないことにします。
六散人様の構成の妙を、ぜひお楽しみください。
ある人物は炎を指して「清々しい、強い怒り」と評しました。
その真実がエピローグでかっちり嵌まった時、〈ほのかみ〉とはなんと強く美しいものかと胸を打たれることでしょう。
ぜひ、ご一読を。
キャッチコピーにて猫の目が人の心を読んでいるという話を語る、本作は……
目を塞ぎたくなりますよ。いや、失礼しました。視線は吸い寄せられて物語の先へと進みます。しかし凄惨さたるや。
それも、出来事だけでなく、人の心において。黒く染まった心は見るにおぞましいものです。そして、それは当人にとっても。自身の心中を見ていないのは、実はおぞましさがうっすら見えていて目を塞いだのでしょうか。これ以上は評者は語りません。
その姿を凝視し続けたのは主人公の鏡堂でした。キャッチコピーでは見られる側だった彼は、作中で犯人の心中を凝視し続けます。主人公が目を塞がなかったからこそ、本作は結末まで語られました。その鏡堂とバディを組んだ天宮も、可愛く見えて芯が強く、振り回されるどころか時には振り回すことも。彼女でないと鏡堂にはついていけません。
明暗の対比が激しいところに入ると人の目は周囲がはっきりと見えなくなるのですが、本作は最後まで明瞭に見えるのです。それはひとえに作者の力量です。