美しい一輪の花だと思っていたら、実は花束だったと気づかされる作品

余韻を噛み締めた後で、ぜひもう一度読み返してみてほしい作品です。

短編という限られた文字数の中で広げられた世界の広さと厚みにまず驚きました。
そして作品の各所にそっと忍ばせた伏線が物語の進行と共に読者の脳内で一つずつ回収されていきます。
謎が解けていく心地よさを感じながら物語が進み、最後は温かい感情が胸に押し寄せてきます。

そして全てを読み終えた人もぜひもう一度冒頭に立ち戻って読み返してみてください。
彼が視線を向けた先はどこにあったのか、どんな思いで彼女が執筆したのか、そして長年捜索し続けた彼女達の胸中を想像してみてください。
それらは束ねたら美しい花束にならないでしょうか。

本当に素晴らしい作品だと思います。

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