★★★ Excellent!!! 生ける死である彼女にとっての生と死 れんげそう 宗教の創始者である彼女の言動には多くの矛盾が秘められています。 それは宗教の創始者としてではなく、彼女をただ一人の人間として読み解けばその心の奥底に近づけるのかもしれません。 彼女にとっての生とは何だったのか。 そして死とは。 彼女が真に求めているものに気づいた時、あなたは戦慄するかもしれません。 こんなふうに自由に想像を巡らせることが、この作品のもう一つの楽しみ方かもしれません レビューいいね! 0 2020年2月20日 01:07
★★★ Excellent!!! 蛇の皮膚は乾いているのに濡れて見える。淡々とした語り口の昏く淫靡な掌編 一田和樹 爬虫類の皮膚は乾いているのに濡れて見えますよね。触ってみると全然乾いているのに、誘うように淫靡なぬめりが目に映ります。この小説を読むと、死もそれと同じように当たり前の日常のくせにやたらと魅力的に見えることがあります。 おそらく一番楽しいのは死そのものよりも、死の淵をつま先で歩きながら深淵をのぞき込んでいる時のような気がします。 教祖はその遊びを楽しみ、いつか淵から転げ落ちることを心待ちにしている。記者はそれを離れたところで眺めながら、近づきたいと思いつつ、踏み出せない。 おそらく作者の方の意図とは違うと思いますが、そんな印象を抱きました。 レビューいいね! 3 2020年2月15日 04:34