倉瀬が課に馴染んできた頃、遅れた歓送迎会が催された。

駅近くのちょっとお洒落な居酒屋で、異動してきた倉瀬と異動していった別の社員のための会だ。

ありきたりな課長の挨拶のあと乾杯をし、和気あいあいと親睦会は始まった。

奈々はお酒はそれほど強くはないが、こういった飲み会は好きだった。

仕事とは違った雰囲気で皆が楽しんでいる様を見ると、自然と笑顔になる。

出てきた料理を食べながら、おしゃべりにも花が咲いた。

普段あまり話さない人ともざっくばらんに会話できるのが何だか嬉しい。

会も終盤に差し掛かり、最初に座った席もよくわからないほどにワイワイと入り乱れていた。

奈々がお手洗いから戻ると、さっきまで自分が座っていた席が埋まっている。

空いている席を探して座るかと全体を見回すと、奥の方にひとつ空いているのを見つけた。

行こうとしてハタとなる。

絶対ちやほやされているに違いないと思っていた、倉瀬の隣が空いていたのだ。

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