通じ合う心
022
奈々がいつものように仕事をしていると、隣の席の同僚朋子がこそこそっと話しかけてきた。
「ね、ね、奈々。今週の金曜空いてない?たまには飲み会しよ?鈴木さんと大田さんも行くよ。」
「飲み会?」
「そう。空いてる?」
奈々はカレンダーを確認して、
「うん、大丈夫」
と答えた。
朋子も鈴木も大田も、奈々と同じ課の女性だ。
同じくらいの年頃で、奈々が新人の頃に仕事を教えてもらったりした関係で割りと仲がいい。
時々ランチも一緒にしたりするくらいだ。
四人で飲み会をするのもずいぶん久しぶりだ。
今流行りの女子会でもするのかな、と奈々は軽く考えていた。
飲み会当日、朋子達に連れられて入った居酒屋には、先に男性が四人待ち構えていた。
いわゆる、合コンだ。
奈々は一瞬で嵌められたと悟ったが、朋子達の手前帰るわけにもいかない。
合コンに興味のない奈々は、深くため息をついた。
来てしまったものは仕方ない。
ここはもう割りきって料理を楽しむしかないだろう。
そう、私は美味しいものを食べに来たんだと奈々は自分に暗示をかけた。
そうして、望んでもいないどうでもいい合コンがスタートしたのだった。
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