メッセージが表示されている奈々のスマホをまじまじと見ている倉瀬に、ようやく奈々は我に返る。

「何でここに…。てか、スマホ返してください。」

「変な男にホイホイ連絡先教えてるんじゃねーよ。」

「倉瀬さんには関係ないでしょ！」

奈々は思わずムキになって叫んだが、倉瀬はそれを無視し奈々のスマホを勝手に触り片手で器用に操作する。

倉瀬の長い指がしなやかに動き、その大胆な行動に奈々は唖然として見ているしかなかった。

「ほらよ。」

おもむろにスマホが返され、ようやくはっとなってスマホを胸に抱く。

「何かあったら俺に連絡してこい。」

言っている意味がわからず、奈々は小さく首を傾げた。

倉瀬は顎でくいっとスマホを指す。

奈々が手に持っている自分のスマホを確認すると、合コン男のメッセージも連絡先もすっぱり削除されていた。

それどころか、代わりに倉瀬の連絡先が登録されている。

信じがたい事実に、奈々はスマホと倉瀬を交互に見た。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい