第一章:邂逅

◀︎◀︎ ■ ▶︎ 01_a.春雪

 運転席の窓枠に引っ掛けられたトランジスタラジオがノイズ混じりの情報を吐き出している。

 バスは丁度山陰に差し掛かった所だったので、電波の入りが悪い。

 空になった運転席に入り、ぼくはアンテナの角度をゆらゆらと変えてみる。

 虚しい努力の結果わかったのは、都心ではみぞれ程度で交通には影響ないこと位。

 諦めて電源を切ると、バスの前へと突き出たボンネットに収まるエンジンの、単調なアイドリング音がやけに主張してくる。

 ぼくは敗戦直後に作られたというおんぼろのエンジンと一緒に、ぶるりと身を震わせると白い息の塊を吐き出した。

 平野部が交通に問題なかろうと何の慰めにもならない。

 ここは東京の山間部。

 窓の外、宵闇を雪が白く染め上げてゆく光景は、今更ながら都心との距離を実感させた。


 あと二週間で桜が咲く。

 あと二週間で佐江津音大さえづおんだいの新学期が始まる。

 車窓から入る瑞々しい風に春を感じ、新聞が桜前線の北上を伝え始めた三月下旬。

 ぼくの職場、年代物のボンネットバスは山の中を走る道路の中腹で雪に足を取られ立ち往生していた。


 運転席から出て、後部座席に目を移す。

「あの……都心は一センチ程度だそうです」

 白い息と共に言葉を吐き出すけれど、受け止められず宙を彷徨った。

 いつものことだけれど、さすがに一対一で無視されると堪える。

「運転手が、外の確認をしておりますので少々お待ちください」

 制服替わりの学ランの左腕に巻かれた『車掌』という腕章をぎゅっと握り、そう告げた。


 目線の先、壁に沿うように並んだベンチ型の座席の一番奥。

 ぼくと同じくらいの背丈、つまり背の低い女の子が座っていた。

 最終バスには珍しく一つ手前の川野辺駅から乗ってきたお客さん。

 真っ白いダッフルコートの頭巾をすっぽり被り、表情を伺い知ることはできない。

 席に着いてから身じろぎ一つしない。

 眠っているのだろうか。


 ドンドンと車体中央にある唯一の出入り口が叩かれる。

 慌てて二つ折りになる扉を内側から開けると、長身を屈めて運転手のスカさんが段を登って入ってきた。

 雨合羽に積もった雪を乱暴に叩き落としながら、後部座席に向き直る。

「お客さん、バスは当分動かない。家は近いか?」

 白いコートのお客さんは、ぼくが話し掛けた時と同じで何の反応も示さなかった。


「営業所に行って助けを呼ぶ」

 スカさんはそう短くぼくに告げた。

「動かすのは無理、ですか」

 長身を屈めるようにして運転席へと歩むスカさんは、大きく一つ頷いた。

「どうあれお客さんを終点まで届ける。チェーン巻かないと坂も登れない。人足が必要だ」

「あの、ぼくに行かせてください!」

 営業所まではここからだと歩いて十五分位。

 雪も積もってきているし、行って帰って四、五十分はかかるかもしれない。

 運転席に体を折りたたむようにして座ったスカさんは、合羽のフードを取るとオールバックに固めた髪を一撫でする。

 それからハンドル横の鍵を一捻りさせてエンジンの火を落とした。

 急に訪れた静寂に耳の奥がキーンと痛い。

 スカさんは運転席に座ったままぼくの方に向き直った。

「お客様を」

 ぎゅっと握った拳をとん、とぼくの胸に当て。

「守って欲しい」

 手が開かれると、そこにはバスの鍵が乗っていた。

「それがお前の仕事だ。バスを動かすのは俺の担当。そうだろ、凍江」

 スカさんはきゅっと口元を上げて笑う。

 ぼくは、たまにしか見せないその笑顔が好きだった。

 黙って鍵を受け取ると、ぼくは首を縦に大きく振った。


「カイロの灯油は」

 スカさんが自分が出て行った後の確認を始める。

「もう春なので、車内温めるための灯油は入れてないです」

「お客さんには前に移動してもらえ。多少はエンジンの余熱で暖が取れる」

「はいっ」

「俺が出て行ってからやることは」

「車内灯消して、車止め入れて、三角版の表示……あと止めたエンジン冷やさないように」

「車止めは俺が入れた。エンジンどうするつもりだ」

「その……雪払って上着掛けておこうかと」

 自分が着ているダボダボの上着を引っ張る。

「やめろ」

「でも……」

「エンジン冷え切る前に帰ってくる」

「……わかりました。あの」

「何だ」

「すみません、もう少し天気のことを気にしていれば……」

「この土地は俺の方が長い。気付くべきは俺だ」

 うつむいた頭を学生帽越しにごしごしと撫でられた。

「頼りにしているぞ、凍江こごえ


                  ▶︎▶︎


 懐中電灯が坂の上の方でゆらゆらと揺れる。

 車外に出たぼくは、それに応えるように手を振った。

 やがて光は右カーブの山陰の奥に消えてゆく。

 左を流れる川のせせらぎに、雪が降る音が混じる。

 くすんだ黄色いおんぼろバスの前方には、エンジンを納めるボンネットがにょきっと突き出ている。

 バンパーに足を掛けて登り、白手袋を外して天蓋に三センチ程積もった雪を手で払う。

 嘘か本当か国産の車体に米軍払い下げのエンジンを積んでいるらしい。

 そのせいか無駄にガスを食うけど、坂道でのパワーは他のバスとは段違い。

 電気系統が弱いのは玉に傷だけど。

 学生服を脱いでボンネットの上に掛ける。

 朝からセーターを着ておいて良かった。

 これでちょっとは始動良くなれば良いけど。

 体が一気に寒さを感じる。

 早く車内に戻りたい。


 バンパーから飛び降りると、くるぶしまで雪に埋まった。

 それにしても、駅と佐江津音大さえづおんだい間の往復時はそれほど雪は積もっていなかった。

 先輩たちのバスが立ち往生している様子もない。

 雪は短時間で積もったのだろう。

 こういうことって、山では良くあることなのかな。

 去年の春からここで働き始めたので、わからないことも多い。

 車線が狭いので念のため車体の前方と後方に三角板を設置する。

 街灯もまばらな、駅へと続く坂道を眺める。

 ぼくらのおんぼろのタイヤのわだちがゆっくり白く覆われてゆく。

 それを見ながら、さっきから疑問に思っていたことを口にした。


「何であの子、駅から乗って来たんだろ」


 終バスの駅から営業所の間。

 これは、おまけのような区間だ。

 普段営業所前にある蕎麦そば峻厳しゅんげんの鈴木さん親子と、寮に住む先輩たちが街で飲んだ帰りに乗る位しか使われることがない。

 周りに民家はないし、ハイキング客は昼にはたまにいるけれど、この時間に……

 靴に入り込んだ雪で指先が痛くなり始める。

 けれど、何故か駅へと続く下り坂の闇に目が吸い込まれて離せなかった。

 吐く息が街灯の光を受けて白く輝く。


 はっはははっはは はっはははっはは


 どすん!

 背中に衝撃を感じた次の瞬間、ぼくは横倒しになって雪に体を埋めていた。

「ぎゃっ!」

 突然のことに情けない声を上げる。

 熊、だったらやばい。

 頭を起こし腰を振り返ると小さな塊がしがみついている。

 

 塊はむくと起き上がり、肩を掴むとその体から想像できない強さでぼくの体を起こす。

 上体を起こしたぼくに跨っていたのは、車内にいた筈の小さなお客さんだった。

 

「見つけたぁ!」


 頭巾が取れ露わになった女の子の顔は色素の薄い雪のような白い肌で

「こんなところで、こんな素敵な出会いがあるなんて!」

 頭の後ろできゅっと結んだ鳥の尾のように長く白い髪を揺らし

「キミ、聞かせてよぉ!」

 小さな手でぼくの両肩を小さな手でぐいと掴んで

「今キミがそこで歌っていた」

 薄く赤みがかった瞳を輝かせてぼくを見つめ

「キミの歌を!」

 柔らかだけど熱っぽい声で語りかけて来た。


 尻を濡らす雪と、歌という言葉がぼくの頭に少し冷静さを取り戻させる。

 車内から出て来た女の子に後ろから飛びつかれ、道路に押し倒されたのか。

「歌、ですか」

 そう呟くと

「うん!」

 相変わらずきらきらした目でぼくを見つめてくる。

「あの、歌、とか」

「そう、聞かせてよぉ、君の歌声を!」

「歌ってないんですけど」


 少女は引き続き、にっこにこの笑顔でぼくを見ていたけれど、暫くすると。

「何でだよぉ!」

 突然怒り始めた。

「さっき歌っていたじゃないかぁ!」

「いえ、本当に歌ってなんていませんから」

 ありえない。

「嘘つき!」

 路上の雪を右手で握るとぼくの顔目掛け至近距離から投げつける。

「ほ、本当に歌っている筈ないですから!」

「ボクは春から佐江津音大の生徒だぞぉ!」

 まさか年上?

 ぼくと同い年かそれ以下、高校生くらいかと思った。

「だからボクの耳は誤魔化せない。キミは確かに歌をぶぉくしょおあぁ!」

 盛大にくしゃみをすると、青っ洟を垂らす。

 えっと、この人本当に春から大学生?


                  ▶︎▶︎


「ごめんねぇ、なんか迷惑かけちゃってぇ」

 女の子改め春から音大生(自称)を運転席横の座席に、靴を脱がせてから寝かせる。

 暖かくはならないだろうけど、エンジンが近いから後部座席よりはマシだ。

「いえ。仕事ですから」

「なんかその言い方ちょっと引っかかるのあぁぁチメタイ!」

 車掌鞄に入れていた大きめの辛子色のハンカチに雪を入れて軽く絞り、音大生さんの頭に当てる。


 外にいた時におでこに手を当てたら、茹るように熱かった。

 どうやら風邪をひいているみたいで目の焦点も微妙に合ってない。

 さっきの奇行も熱のせいだと思いたい。


 即席の氷嚢を頭に当て、近くの席に腰を下ろす。

「お客さんはいつから風邪引いていたんですか」

「お客さん……これから長い付き合いになるんだからさぁ。名前、覚えて欲しいなぁ」

 頭に当てられたハンカチを落とさないように手で押さえながら少し状態を起こし、窓ガラスにはあっと息を吹きかける。

 窓ガラスが曇ると再び座席に寝転がり、人差し指で曇りを拭い取ってゆく。


『有奈華六音』


 そう書かれた窓を、街灯の光が微かに照らしていた。

「ありなか、ろくね。音大生だよぉ、今年の春から。だから、毎日このバスを使うことになるからさぁ。四年間よろしくねぇ、犬吠埼凍江いぬぼうざきこごえクン」

「どうして、ぼくの名前を」

「見たもんねぇ、さっき。学生服に付いていた名札。大丈夫?」

「すみません、ちょっと……」

 体が濡れて歯の根が合わない。

 名札を付けていた上着をボンネットに掛けているし、雪まみれのセーターは脱いでいる。

 原因はまあ、質問してきた方が作ったんだけど。

「ぼくは、大丈夫ですから。お客さんは」

「六音さんって言って欲しいなぁ」

「有奈華さんは」

 不服そうにぶうと言う。

「寒くないですか」

「寒い。温められる?」

「生憎、車内のストーブの灯油切れていて」

 氷嚢としておでこに当てられていたハンカチの端を頭の後ろで結ぶと、有奈華さんはゆるゆると体を起こし、座席に背中を預けた。


「大丈夫ですか」

「大丈夫じゃぁない。だから、お仕事」

 空いた自分の左側をぽんぽんと叩く。

「えっと」

「こっち来て」

 指をくいくいと動かす。

 意図がよく飲み込めずとりあえず近寄ると不意に手を取られて下へと引かれ、気がついた時には座席に座っていた。

「ちょ、何を」

「いいからさぁ。今の所これしか温まる方法ないでしょ?」

 いつの間に脱いだのかコートを二人に跨るように掛けられる。

「濡れますから」

「気にしないでぇ。原因作ったの私だし」

 自覚はあったのか。

 とはいえ汚すのは悪いので立ち上がろうとすると、ぐっと右手をからめ取られて引き寄せられた。

 体が当たると焼けるんじゃないかと思う位熱っていて。

「だから、お仕事。お客さんが風邪引いて寒いって言っているんだからさぁ、温めてくれるよねぇ、車掌さん?」

 そう言ってぐっと体を預けてきた。

 

 髪から漂う甘い匂い。

 それと絡められた腕に感じる控え目だけ女性特有の感触に体を硬くする。

 抜け出したいけれど、動くと何か余計にまずいことになりそうで……


「すごい冷えてるねぇ、キミの体」

 呟く言葉が、熱い息と共に首元をくすぐる。

「ふふっ。キミがボクで温まるでしょ?」

「離れます、それじゃあべこべですから」

「気にしない」

「気にします」

「じゃあ、温めてあげる代わりにさぁ」

 すうと大きな吐息。

「歌を聴かせてくれないかなぁ」

 ……

「キミの声の熱であっためてくれよ、ボクの心を」

「ぼくは、車掌なんで」

「車掌だから?」

「歌うのは、バスガイドさんです。車掌は、そういう職業じゃないので」

「バイトなのに、えらい真面目だなぁ」

 ちょっとむっとする。

「バイトじゃないですよ。正社員です、川野辺交通の」

「でもさぁ、学生服着てるじゃない?」

「これは、背が小さいから制服が合わないっていうか……だから、仮で……」

 頭が少しだけこっちを向くのを感じる。

「幾つなのぉ?」

「個人的なことはお答えしかねるのですが」

「もうちょっと体くっ付けちゃおうかなぁ」

「十七です」

「素直でよろしい」

 くつくつと笑う声を聞きながら、この人はかなりの性悪だと確信した。


「すごいねぇ。学生のボクなんかよりずっと大人だ」

「働いているってだけですよ」

「まだ何にでもなれる年齢だぁ」

「だから、車掌になったので」

「そうだったねぇ。まだ東京にもいるんだねぇ、バスの車掌さんって……」

 徐々に言葉と呼吸がゆっくりになってくる。


「何だろ。何かすごく緊張しているねぇ」

「それは、こんな風に腕取られたら」

「そうじゃなくてぇ。歌。歌のこと」

 ……

「仕事のこと。そういうの、含めて……」

 ……

「大丈夫、キミはさぁ、まだ、何にでも……」

 体の力がゆっくりと抜け、完全にぼくに体を預ける形になった。


 起こさないようにゆっくりと空いた左手を持ち上げると、腕時計を確認する。

 外からの光に翳(かざ)すと、二十一時ちょっと前。

 出発したのが三十分程前だから、早ければあと十五分くらいでスカさんが戻ってきてくれる筈だ。

 それまでは気を張って有奈華さんを見守るしかない。

 まっすぐ前を見ると運転席横の窓の外抜けに、外が見える。

 そっちは山側で、街灯が降り続ける雪を照らしていた。

 川のせせらぎが、ぼくの頭の後ろの方から聞こえ続けている。


 そして、その始まりにぼくは全く気づくことができなかった。


 導入は微かなものだったに違いない。

 声が声帯の振動だとするなら、多分その予兆を一番初めに感じていたのは絡められたぼくの腕だったに違いない。

 すうっと面相筆で線を引くような、そんな呼吸の長い声だった筈だ。


 時折吹く風に軋む車体。

 雪が天井に当たる音。

 水が川底の石を撫で続ける音。

 枝が雪の重みに耐えかねて弾き飛ばす音。

 ぼくの次第にゆっくりになってゆく呼吸。

 そこに存在する様々な音と同じように、その声はただ、そこにあった。


 その微かな空気の振動は緩やかに畝り始めるが、その音をはっきりとは認識できなかった。

 後から考えると理由は二つ。

 一つ目は有奈華さんが寝ていると思い込んでいたので、人の声だという考えが自分の頭からすっぽり抜け落ちていたこと。

 もう一つは、それにはこれという節が存在していなかった。

 つまり、所謂歌のような形式っぽい感じがしなかったから。

 音の高低、意図のある全体的な流れみたいなものはあったと思う。

 でも、明確な旋律みたいなものはなかった気がする。

 色々後から考えてみたけれど、一つだけこれは間違いないと思えることがある。


 それは、ぼくを寝かしつけるための子守唄だったということ。


                  ▶︎▶︎


 ぱちぱちぱち。

 拍手が聞こえる。


「凍江」


 目を開けると、スカさんがぼくの頬を叩いていた。

「起きたか。お客さんは」

 お客さん……

 その言葉を聞き、急に頭が冴える。

 横に有奈華さんはおらず、ぼくの体には温もりが残るダッフルコートが掛かっていた。

「スカさん、有奈華さんがいない! あの人、風邪引いているのにコート置いてて……」

「落ち着け。とりあえずこれで涙拭け」

 ハンカチを目の前に出された。

 涙?

 親指の腹で目元を触ると、湿り気を感じる。

 あれ、何だこれ?

 自分の袖で拭おうとすると、体に掛けられたコートが目に入った。

「有奈華さん!」

 立ち上がろうとするぼくの肩に、スカさんが手を置いて制止する。

 弾みで、何かが床にかさりと落ちる。

 スカさんが拾い上げると、ぼくに渡してくる。

 受け取ると、それは鋏で穴が開けられた切符だった。

 スカさんが懐中電灯の光を当ててくれる。


『今度歌を聴かせてね。 ろくね』


 不意に横から伸びた手が切符を取り上げた。

「んだこれ。女の字じゃん。凍江こごえおめー意外とやるな。客に手つけるなんてよー」

 上を向くとハシモさんが来ていて、切符の裏を覗き込んでいた。

「橋本、やめろ。凍江に返せ」

「はいよ。おめーもはやくこれ持ってこっち来いよー、凍江。今度峻厳しゅんげんで昼飯おごれよなー」

 スコップとレインコートををずいっと出された。

「橋本、外に子供の足跡なかったか」

「足跡? ちょい待ちー。おーい古淵、その辺に子供の足跡ねーか!」

 橋本先輩がバスの外に出ながら、誰かに声を掛ける。


「凍江、売り上げはあるだろうな」

「え、あ、鞄……鞄の中は大丈夫そうです、多分」

「鍵は」

「は、はい」

「おーい、あるってよー子供の足跡!」

 しばらくしたら外からハシモさんの返事が聞こえた。


「凍江、お前は橋本達を手伝え」

「でも……」

「あと、学生服をボンネットに掛けるまでしなくていいと言った筈だ。お前が風邪を引いたら、ローテーションに影響が出る」

「……すみません」

「だが、エンジンを俺のために冷やさないでくれようとしたお前の気持ちは受け取った」

 肩に手をとんと置く。

 スカさんは屈めていた腰を上げ帽子を取り、かっちりと決めた髪を撫でてから被り直した。

「足跡は俺が追う。あとは、任せろ」


                  ■

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