概要
嗚呼、厭うべき 此世で生きる孤高さよ。
ベースを弾く女子大生の話です。
(キャッチコピーは八咫鑑さんから頂きました)
(キャッチコピーは八咫鑑さんから頂きました)
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!独りでも、自分がいる。
人との軋轢を厭いながら、どうにも軋轢がついて回る人間関係への憧憬を捨てきれずにいる唯。いまいち嵌らない歪なパズルのピース然とした己の価値観と、大衆文化の支柱として迎合されるような他者の価値観との齟齬を恐れて孤高を装いながら孤独でいるのも、数少ない救いとして機能するベースに精神の安寧を委ねるのも、その都度、かつて耳にし、今では自らの手で反芻を試みているほどに胸を打ったあの音色は他者との協合によって初めて人々の元に届きうる代物になれたんだという事実に、或いは懊悩し、或いは急き、或いは気づかないフリをして、時間だけが進んでいくような負の泥沼に人知れず疲弊しながら日々を歩んでいたのだろう唯は、少な…続きを読む - ★★★ Excellent!!!愛すべき、不器用な女性
いつもなら難しい文体は敬遠してしまうのですが、「厭世の音色」の文章のリズムは心地よく、途中で挟まれる言葉遊びにも親近感が持て、楽しく読み進めることができました。そして読み終わる頃には唯のことが好きになっていました。
唯のような素敵な人に出会えないのは、ある意味では必然なのかもしれません。彼女の強さと愚直さは大変魅力的ですが、その魅力が故、登場した軽薄な者たちのように簡単に出会ったり人間関係を構築(本人たちはしたつもりでも)したりできないでしょうし、彼女の魅力に気付く人たちもまた、他に迎合することを嫌うような人が多いのではないでしょうか。
ですから、こんな形でも唯のような女性に出会えて、…続きを読む