読者は彼女に共感する。だが彼女はどうだろうか……

あまり日常では使わないある種、堅苦しい語句や文体、そしてそれにリンクするかのような主人公の性格。
いかにも思春期的であるのに、「中二病」とはまた異なった独自の孤独な世界を形成している。
独特な言い回しが非常に面白いです。

厭世的だから独りなのか、独りだから厭世的なのか。

まるで自分を見ているかのような気分になってゆき、ただ唯一の理解者として読み進めていく。
されど、読者が唯一の理解者だったとて、彼女がこちらを理解する姿勢をみせるかは分からない点にこそ、本作一番の厭世観が貫かれているように感じました。

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