愛すべき、不器用な女性
- ★★★ Excellent!!!
いつもなら難しい文体は敬遠してしまうのですが、「厭世の音色」の文章のリズムは心地よく、途中で挟まれる言葉遊びにも親近感が持て、楽しく読み進めることができました。そして読み終わる頃には唯のことが好きになっていました。
唯のような素敵な人に出会えないのは、ある意味では必然なのかもしれません。彼女の強さと愚直さは大変魅力的ですが、その魅力が故、登場した軽薄な者たちのように簡単に出会ったり人間関係を構築(本人たちはしたつもりでも)したりできないでしょうし、彼女の魅力に気付く人たちもまた、他に迎合することを嫌うような人が多いのではないでしょうか。
ですから、こんな形でも唯のような女性に出会えて、うれしく思います。とても面白かったです。