この短編を小説という常識で縛っていけない、哲学と文学の《佃煮》だ

不貞腐れて《海苔の佃煮》になってしまった恋人と、戸惑いながらも徐々に佃煮になった彼女に受けいれていく《僕》――衝撃。他に言葉がありません。

普段ならば、物語のあらすじを書かせていただいたり、細部のあれこれに触れて考察を書き散らしたりするのですが、この小説においては、敢えてせずにおきます。

この小説が気になった読者さまには。
取り敢えず理窟は放り投げて、本編を読んで、確かめていただきたいからです。

それにしても、この小説。読みはじめた段階の衝撃が最後まで衰えることなく続くのが、ほんとうに素晴らしいです。
作者さまは頭のなかにどんな大型収納を備えているんだと圧倒されるくらいに多種多様な比喩表現と、奇を衒っているわけではないのに奇抜な描写の数々。
それらが絡みあって、この小説そのものが《哲学》と《文学》の佃煮なのではないかと思わされるほど。

もしや、わたしは佃煮を読んでいたのか。

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