第27話 保護者 神波 尚子
17:48会議室
『だから、証拠を見せて下さいよ。』
『ウチの子の証言が証拠です!』
『ままま、お二人とも!』
さっきから山口の父親と小西の母親が言い合いになっている。
教頭は慌てふためき、私は傍観している。
と言うより蚊帳の外?言い換えれば安全圏?
小西ママが言うには主犯は山口であり、ウチのリオはたまに意地悪をするけど駄菓子屋なんかに一緒に遊びに行く仲でもあるそうな。
ほら見ろ、リオが虐めなんてするわけないんだ。
もう帰っていいかしら?
と言ってみようか。
『あのー…』
『なんですか!?』
小西ママはすごい剣幕だ。
なぜこんなやつの子が虐められる。
『私はもう、いらないんじゃないかしら?あとは山口さんと小西さんで話し合って頂いて…』
『それはないんじゃないかなぁ?それじゃウチの海里が単独で虐めてたみたいじゃないか。芳根先生が言うには主犯はお宅のお子さんだと。』
山口パパは淡々と語る。
『なっなにを言うんですか?主犯は山口くんだと、小西くんもおっしゃってるんですよね?そうですよね?小西さん!』
『…とりあえずうちの真は「とくに山口くんにやられてる」と言ってます!』
『ほら見なさいよ!あなたの息子でしょうが!』
『いやいや「とくに山口くん」と言うのがハッキリしませんね。ここはやはり担任の今井先生を待ちましょう。』
山口は折れない。
くそ!面倒になったわ。
『ちょっと失礼!!』
そう言って今井にラインをするためスマホを開く。
あれ?メッセージが来てる。
「すみません、職員用トイレに閉じ込められました。助けを呼んでもらえませんか?」
なんだこの間抜けは!!使えない!!
助けろだと!?
しかし状況が状況だ。
教頭にいうか?
いや、今井とラインで繫がってるとバレるのは得策じゃない。
そうだ、リオを使おう。
「リオ!今井先生が職員用トイレに閉じ込められてるらしいから助けを呼んであげて!」
これでいいか。
全く。
今井のアホは私が中三の時、中一にして下着ドロで捕まった。
更に言えば盗んだのは私の下着だ。
大ごとにすることもできたが、金を持ってきたので飲み込んでやった。
今井よ、これでまた貸しが出来だな。
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