第26話 教師 片平 慎太郎

17:39女子トイレ

頼む、早く出てきてくれ。小西。

そして居なくなってくれ。


『小西。頼む、俺を信じて出てきてくれないか?』


「なんで………」


おっ、やっと声が聞こえた。


「何で先生、僕がいるの知ってるの?」


心拍数が跳ね上がった。

確かに。

俺が知ってちゃおかしい情報だ。


『そんなことはいい!馬鹿なことはやめて出てきなさい!』


我ながら苦しい紛らわし方だ。


「じゃあ…辞めさせてくれるの?」


『なにをだ?』


「山口くんたちの…いじめ…」



『…っああ!勿論だろ!俺は教師だ!』


「でも今日僕がカメラをセットしないと山口くんにボコボコにされる…」


なに?


『…今何と言った?カメラ?』


「山口くん、芳根先生のファンなのか知らないけど芳根先生がここでオナニーしてるって噂聞いて、だからカメラをセットして盗撮するんだって。」


まじか、芳根先生。

俺は知らなかった。

と言うか俺のカメラには映ってなかったぞ?



「だから…セットしたら出ていきます。それまで見張っててください片平先生。」



やる気なのかよ、小西!

虐められっこというより職人根性だなそこまでくると!



いや、むしろ中をあまり弄くり回すな!

見付かってしまう、俺のカメラが!



『おい、それは承認できないぞ小西!カメラなんて付けたら俺は報告しなきゃならない!』


「……やっても地獄やらなくても地獄じゃないかそれじゃあ!!やっぱり死んでやる!!」



『ままま待て待て待て!!違う方法を考えよう!』

どうする、どうする、どうする。


山口か、山口…仕方ない。



『よし!山口をここに連れてくる!待ってろ!』

俺は山口を探すべく走り出した。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る