第36話 1年5組 神波 リオ

17:57 女子トイレ外



『芳根先生!こいつはねえ!最低野郎なんですよ!!』


片平が山口の胸ぐらを掴んでる。

どゆこと??


いじめがバレたのか?


『ちょっとあなた!ウチの子になにするんだ!』

後から来た山口とーちゃんが怒ってる、そりゃそーだ。


『黙りなさい!!あんた、自分の子にどんな教育してんだ!!』

すげー、片平のやつ、あの口うるさい山口とーちゃんに怒鳴りつけた。

なんか面白くなってきた。


『だっ、だから!ウチの子がなにをしたと聞いてるんだ!!』

山口とーちゃんも負けない。


『言っていいのか?ここで!この先の人生が真っ暗になるぞ!?』

片平ヒートアップ。


山口とーちゃんちょっとクールダウン。

当の山口固まってるし。




『海里!自分の口で説明しなさい!』


『…』

山口黙る。

え?虐めのこと?じゃなくて?


『そうだよな!?言えないよな!?お前はそれだけのことをしたんだ!先月は有耶無耶になったが今回はそいはいかないぞ!!』



は?先月?なんのこと?



『…ち、ちが、先月は本当に俺じゃあ…!!』

山口には話通じてるみたい。


先月ってなんだよ?

あ!

盗撮のこと?

あれ山口だったの?!


そこで、女子トイレから小西が泣きながら出てくる。

泣いてる小西を片平は抱きしめる。

『小西!もう大丈夫だ!泣かなくていい!先生が守ってやるからな!!悪い奴から守ってやるからな!!』


抱き合う片平と小西。

固まる山口親子。


なんだこの青春ドラマは。


と、そこでかーちゃんから耳打ちされる。

『りっくん、今の内謝っちゃいなさい。』

小声で言われた。

『え?』


『だーかーら!このドサクサに紛れてあんたは少しでも罪軽くしとくの!ぜーんぶ山口君のせいにしとけばいいんだから。あんたも泣く真似して片平先生に抱きつきなさい!』


我が母親ながら恐ろしく策略だ。


専業主婦なんかやってねーで政治秘書になった方がいんじゃね?


ま、とりあえずかーちゃんの言うとおりにしよっ。


『先生ごめんなさぁぁい!俺っ…俺も…小西にひどいことを……』


俺の演技力も捨てたもんじゃないな。


『いいんだ!お前も命令されたんだろ!なっ!?お前は勉強はダメだが根はいい奴だ!!』

片平は俺も巻き込んで抱きしめた。

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