第9話 保護者 神波尚子

17:11神波宅


そろそろ行かなくちゃ。

学校までは車で10分掛からないが、まあ一応虐め加害者の保護者としての立場だ。

遅刻は良くない。


そもそもなんでウチのリオが虐めなんて?


何かの間違いに決まっている。

そりゃあ勉強も出来ないし私生活も真面目とは言い難い。

だけどリオは根は優しい子だ。


私は22であの子を産んで以来専業主婦としてずっとあの子を見ている。


保育園時代はそれは気弱でよく年上の子に意地悪されていたぐらいだ。


まあその年上の子の家には怒鳴り込んでやったが。


とにかくリオが虐めの、しかも主犯格だなんて間違いだ。

どーせあの副担任の女が騒いでるだけでしょ?

根気を逃した女教師の癖して。

大方シングルファザーの保護者にでも色目を使って寿退社するつもりなんだろう。

 

なら早く辞めてしまえ。


ああ、なんだか怒りがこみ上げてきた。

まずいまずい、主犯かどうかは置いといて、今回はその小西って子に怪我をさせてるみたいだから形だけでもしおらしくしておかないと。


今井にラインで確認しよう。

「今日の話し合い大丈夫なんでしょうね?上手く運んでくれるのよね?ちゃんとやりなさいよ!」


こんなもんか。あいつは私の命令には逆らえない。

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