現代の民話

怪談というと、合理主義のこのご時世、錯覚だの脳内現象だと切り捨てることは簡単ですが、人間の奥底の恐怖や好奇心は変わらない。形を幾度も変えて私たちの前に現れてきます。

古くは根岸鎮衛の「耳袋」、昭和だと松谷みよ子の「現代民話考」、平成だと「新耳袋」などが好きな方なら楽しめることでしょう。
学術的な文献に残りづらい物語を収集するのは根気のいる作業で、著者には頭が下がります。

また、話によっては下手な作者だとスプラッタな流血になりがちなところ、抑えた表現でまとめているのは特に好感が持てます。
「半実話」といいつつ100%創作では書けないリアルなエッセンスが散りばめられていて、一種独特な語りの妙味があります……ありそうでなさそうな。

でも、体験談の話者にとっては「あったること」であり、読者もこの物語を読むことでその世界を垣間見ることができるのです。

すでに四十話を超えていますが、どこから読んでも面白いです。

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