死が世界を覆いつつある今だから

 死をめぐる思索のつづれ織りのような文章の積み重ねはどこから読んでも一貫した軸があります。ありがちな古今東西の名言や宗教本からの引用の羅列などはなく、すべて自身の言葉で書かれています。

それゆえに全体を通して文章に「乾いた誠実さ」を感じるのです。大きな主題にも関わらず、読者との程よい距離を保ちつつ淡々と続きます。かつて志願者であった私にはそれが好ましい。

生に、性に、金に、人にそして読者にすら、すがることなく死を見つめ、それでいて友へ真っ直ぐに語りかける姿勢。
改めて投稿開始時点での文章を振り返ると、回が進むほどに「私」という主語が希薄になっていることに著者ご自身の深化を感じました。

もちろん読む方の中には反論、反発もあることでしょうが、死が普遍的であるように年齢性別を問わずこの中のいくつかは必ずや読者の琴線に響くことでしょう。

お勧めです。

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