これは、格ゲーが趣味の教師と、とある女生徒のお話。
「たかがゲーム」
近年、そんな言葉を良く聞きます。
私自身、ゲームが大好きなのでそういう言葉が嫌いでした。しかし、この物語を読み終わった今、「たかがゲーム」と言ってる人たちはこういう達成感を味わったことがないんだなって思えるようになりました。
それほど、この物語には強い意志が見えます。
最後の桜子のセリフには、痺れました。イベントの結果だけで終わらせず、教師として何を生徒に残せたのか?まで書き切っているところも、この作品の良いところだと感じます。
そしてそして!
格ゲーの描写がすごい!
ぜひ、みなさんも読んでみてください。
……作者様に投げ飛ばされて、という意味ですが。
作品の根幹ゆえ書けませんが、これだけは言えます。
楽しさに意味を過剰に求めずに、ただ楽しもうよ、というのがこの作品のテーマであり、メッセージでしょうか。
特筆すべきは、かなり制約のある投稿条件かつ、先行する同タイトルの作品群が「恋愛」「家族」メインなのに対し、この作品はなんと「格ゲー」です。
ゲームが好きな方なら……とくに各ゲーの代名詞なあれ――思わず、ニヤリとする表現があることでしょう。格ゲーの描写は画面と操作者の描写が実にうまくゲーム小説としても大変面白いですね。
主人公のキャラもしっかり立って、サブキャラの……おっと、ここからは読んでからのお楽しみです。
『葉桜の君に」作品群のなかでも異彩を放ちつつ、爽快な物語となっています。
このところの閉塞感を吹き飛ばすにはもってこいの青春(?)小説と言えるでしょう。
お勧めします。
冒頭はしなびた大人がひとりいます。
最後は青春ドラマばりの爽やかさが駆け抜けていきます。
面白い。
格闘ゲームが題材のひとつなのですが、ゲームに詳しくない私でもキャラクター達に共感でき、共に熱くなり、腹も立ち、頑張れと思い、世間の目に苦しくもなり……そして、やっぱり最後の展開は素晴らしいとエールを送りたくなります。
ところどころに挟まれるツッコミやぼやきもツボ。
こんな先生に会ったら、たぶん「うざいっ」となりそうですが、いつの間にか好きになってしまいます。
反抗期まっさかりのややこしさと可愛さも魅力の桜子に、元カノもパンチが効いていてキャラクターが生き生きとしていてリズミカル。
鬱屈としているときの清涼剤になるような作品。おすすめです。
あ。プロット企画の『葉桜』なのですね、ほー、いやあ、忘れる面白さだ!!
同じプロットからお話を作るという自主企画の参加作品です。
プロットどおりに「格ゲー」を小道具にしてお話が進んで行くのですが、途中からプロットなんかどうでもよくなるぐらいガチの格ゲーの話に。
先生は筋金入りの格ゲーマニア(でも周囲には隠している)、生徒は格ゲー好きだけど自分の格ゲーに対する熱をどう扱っていいか測りかねています。生徒に相談された先生、自分が格ゲーに費やした無駄な時間、同じ格ゲー好きだった恋人との別れを思い出し、先生という立場上好きなことをやれとはとても言えません。
そこへ知り合いのゲーセン店長から大会に出て見ないかと強引に誘われた先生は、生徒も大会に出ると知って……。
生徒の言い分、先生の経験談、ゲーセン大会のシーン。どれもが素晴らしいリアル感を持って描かれます。そして驚きのラスト。
ちょっとアツくなれる小説の完成度の高さ。格ゲーを知らなくても感動できる、必読の一作です!
日々に草臥れた冴えない中年教師・葉太と、受け持ちの女子中学生・桜子。
本来なら、学校でもろくに言葉を交わすことのない二人の共通点は……格闘ゲームが心の底から好きなこと。
「先生。ゲームに夢中になるってくだらないことなの? こんなに、真剣に取り組んでいるのに?」
桜子からの真剣な問いに、かつて同じ道を歩んできた葉太はどう答えるのか……。
桜子ちゃんがほんとに元気でまぶしくて、草臥れて苦みを漂わせる葉太先生は大人の心に突き刺さって……。
読みながら、思わず自分の心を覗き込んでしまいました。
ラストはお見事の一言。
ちょっとビターな、けれども読後感は爽やかな物語、ぜひお読みくださいっ!
なんという不良教師なのか。この葉太先生は。
今日び、生徒の前でタバコを吸いますかね〜。
しかも、桜子ちゃんとのある勝負では、反則まがい(立派な戦術らしい)のことをしてまで、勝利をもぎ取りにいく。
さらに、最後に夢を語った桜子ちゃんを応援しないとは。
けれども、それは天の邪鬼な行動であって、本心では誰よりも桜子ちゃんのことを気に掛けています。なんで素直になれないんですかね〜。
それでも、桜子ちゃんにはちゃんと伝わったようですね。良かった〜❤
ところで葉太先生の昔の恋人さんはどうなったんだろう?
拝読後、爽やかな気持ちになりました。
それは、葉桜を揺らす春風のように🍃