ポテサラ
本棟一五三階に学食があって、この時間はビュッフェ形式で夕食が食べられるようになっている。ひとまずトレーにチーズチキンフライとハムカツを盛り付けると、何か褐色ばかりで今一つ物足りないので、サラダバーのコーナーに向かった。
「おらー、ヤサイ食べろー!」
澄の横まで来てトングを手に取るだに、急に大量のレタスが私のトレーに盛り付けられる。「よし!」「よしじゃないよ……もう!」澄のトレーを見ると、元々あったろうおかずが見えないくらいにレタスがこんもりと山になっている。見比べると、私の三倍くらいはあるだろうか。私が呆れていると、えへへ、と澄ははしゃぎながらご飯を盛りに向かった。私はトングを置き、替わりにポテトサラダをトレーの隅によそう。
*
学食の席はまばらに埋まっている。
だだっ広い学食も、昼時になるとほとんど満席に近くなるので、それと比べるとだいぶ寂しい印象を受ける。いくつかのテーブルでは生徒が数人寄り集まって課題をしていたり、ボードゲームに興じていたりする。この時代には珍しく、本物のダイスを転がすような音も聞こえた。私たちは二人で窓際の四人席を取り、向かい合う形で座る。
「あっ、水」
座った途端再び澄が席を立ち、ウォーターサーバの方へ歩いていった。私は自分のトレーからポテトサラダを半分取り、澄のトレーのレタスの山の横に添えてみる。緑色一色だったトレーの彩りが、白いポテトサラダが隅に加わるだけでも、だいぶましになったように思える。
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