概要
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!自覚的な〈物語〉の意志のような何か
〈つまり、君は読者でなおかつ作者。
まだ書き終わっていない物語を、もう読み始めている。〉
という表現を読んで興味を惹かれた方にはぜひ読んでもらいたい作品です。物語の本筋は、渋谷のファストフード店、上野こと語り手の〈私〉と高嶺が待ち合わせするシーンからはじまります。ふたりは別の高校に通う高校生で、高嶺は中学の時にスカウトされてから、タレントをしている。ふたりはその時、ゾンビのフェイク動画をきっかけに、ゾンビの話をし、馬鹿話で終わるはずだったそれが、〈まさかこんな冗談が現実になろうとは。〉
というのが、物語本筋の導入になるのですが、あんまりこんな導入を説明しても意味がなくて、〈物語本筋…続きを読む - ★★★ Excellent!!!こんな作品は初めてです……
私は全て読み終えたらレビューを書くようにしてますが、このレビューの文を打ち込む指が緊張するのは久しぶりです。
『一万四千文字程度』と書いてありましたが、その内容はとても凝縮されており、読むたびにこの不思議な世界に引きずりこんでいくのです。
自分が一体何者なのか?
全てが奇妙で、どこか異質で、でもそれが当たり前のように流されていくのです。
自分のない語彙力ではこの作品をレビューするには申し訳ないと思いますが、ホントに皆さんに読んで貰いたい。
冒頭の文から繋がるこの物語が、何を意味するのか?
そしてそれを知った時、物語がどういう意味を持つのか?
ぜひ読んでもらいたい作品です! - ★★★ Excellent!!!アイディアだけに物言わせない凄さ!
作者様のことは「第一回雨野川小説大賞」で初めて知り、その時からとても気になる存在でした。
斬新なアイディアがあれば、たしかにあっと言わせるものが書けるでしょう。そのアイディアさえ苦労する作家さんも多いでしょうから、それだけでも光る才能と言えなくもないです。
しかし、この作者様の、特にこの作品においては、光るのはアイディアではない。アイディアの一点を広大な平野へと引き伸ばし、そこに川や街、笑い転げ苦悩する二人の素敵な女の子まで創造してくれました。
そうです、作者様は類稀なる創造主です。アイディアはただの爆発にすぎない……。等身大のディオラマをありがとう。堪能しました。 - ★★★ Excellent!!!こんな斬新な設定、見たことない!!
作者と語り手と読者が、まるでメビウスの輪のように一巡して繋がり、それぞれがイコールで結ばれる。
ゾンビ+青春+ホラーコメディという、ライトノベル的な枠に納まりきらない深いテーマが、この作品にはあります。
すなわち。
『作者』とは語り手にとってどんな存在か。
『語り手』とは読者にとってどんな存在か。
『読者』とは作者にとってどんな存在か。
創作者はそれらのことを常に念頭に起きながら物語を綴っている訳ですが、上記の三つ、それ自体をメタ的なテーマとして扱い、しかも物語はそれら三つを飛び越え、誰の手にも及ばない──作者にも、語り手にも、読者にも、遠慮も配慮もいらない──地平の先へとさらに加速し…続きを読む