「…傷もねぇまま死ねるかっ!」バックパッカー青春放浪記!
…1999年2月。バイト先の映画館のロッカールームで、”スナフキン”と皮肉られている先輩から突然声をかけられた。
「ヨーロッパの旧市街に行くといい。そこで1日ぼんやり座っているだけでいいんだ…」。すべてはそこから始まった…。
当時19歳の俺は、拭いきれない失恋を抱えていた。
小莉(シャオリー)…。1年前、初めての恋人と春の上海を過ごしていた。
「…日本に戻ったらお金を貯めて、あなたを日本に呼び寄せます」。
…しかし、若い二人の誓いは続かなかった。
結婚に反対した彼女の両親は、彼女に次々と縁談を持ち掛けた。
「両親はあれこれ薦めてきますが、わたしにはあなたしかいません…」。
しかしそれは金持ちの御曹司を紹介されるまでのことだった。
「…だからもう」。それはクリスマスの直前だった。
スナフキン先輩から声をかけられたのは、そんな時だった。
彼女を日本に留学させるために貯めてきたお金は手元にある。
もうすぐ1年後の再会をするはずだった。
「…そうだ。上海からできるだけ遠くに行こう」
スナフキン先輩のヨーロッパ放浪記を聞いた5日後、
俺はヨーロッパ行きのチケットを手に入れていた…。