まるで旅行をしているような気持ちになる物語

【物語は】
ふとしたきっかけで、20年のことを思い出すことから始まる。そして、その旅行の記憶は機内から始まったのだった。隣の席の客とのやり取りを通して、自分が一人旅をすることになった経緯や、旅の意義などについて考える主人公。旅の目的に理由はつけられるものの、その行き先がヨーロッパであったという理由については、明確に自分の意志もしくは目的があると述べることが出来ないようだ。それでも旅は既に始まっており、憧れの地へ降り立つこととなる。しかし、そこでの初めての経験は、明るいものではなく幸先の良いスタートは言えなかった。ここから主人公がどのような旅を続けるのか、悪いことばかりでないことを祈りたい。

【物語の魅力】
一ページ一日というスタイルで読みやすく、その日あった出来事が魅力的に描かれている。凝縮された一日といった感じがする。だが彼が旅に出ることになった詳しい経緯を知ると、なんだか切なさがこみあげてくる。彼は、自分自身の過去と戦いながら、旅を続けている。その中でいろんな経験をし、過去を断ち切ろうとしているのではないだろうかと感じた。その時の心理や、どんなことがあったのかが詳しく書かれている為、次はどんなことがあるのだろうかと、好奇心を刺激する物語である。

【登場人物の魅力】
この物語は、私小説とある。私小説とは、自身の体験などを元にした小説のことである。それが納得できるほどに出会う人に個性を感じ、世の中には色んな人がいるんだなと、改めて思わせてくれる。それだけ人々が活き活きとし、魅力的であるということ。人が人を騙したりするのは全世界で共通であるし、知らない土地に行った時、他国籍の人間に親切な人もいる。他国で出逢った同じ国の人には、仲間意識を持つこともあるし、親近感が沸く場面もある。旅の中で触れるもの、触れることで考えたこと、そして問いかけ。辛い恋を忘れるために旅を続ける主人公は、一日一日を大切にし、日々を積み重ねる。日記という世界に、言葉を紡いでゆく。不思議な感覚を呼び起こす旅行記である。

【物語の見どころ】
バックパッカーとは、低予算で国外を個人旅行する旅行者のこと。 バックパック(リュックサック)を背負って移動する者が多いことから、この名が付けられた、とある。(ウィキ調べ)この物語は決してゴージャスな旅ではなく、人情を感じさせる旅の物語である。そこには良いことばかりではなく、教訓となることも多い。旅行をしたことがある人は、その場所の風景が浮かびその当時のことに想いを馳せることもあるだろう。しかし、行ったことが無い人でも楽しめる。情景描写が丁寧なこともあるが、その時の気候、転機、その時の気持ち。ありのままの姿が描かれているように感じる。

是非、あなたもお手に取られてみませんか?
まるで旅行をしている気分にもなれます。

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