告白したら、ぶん殴られた。
山と空と畑。
駅はもちろん無人で終点。
そんなド田舎に住む水野鋼音(みずの はがね)は身長一八〇センチ、自他ともに認める野生児だった。幼少時から狸や鹿や猪と戯れており、双子の弟・波音(なおと)に呆れられている。
恋愛とは無縁の人生を送ってきたが、進学先の高校で出会ったミニマムお嬢様・白隈霞美(しろくま かすみ)に一目惚れ。直感に従い惚れたその日に告白するも、途中で謎の鉄拳制裁を受ける羽目に。
「告白したら、ぶん殴られた」
予想外の結果に戸惑う鋼音だったが、初恋を実らせるため前向きに行動を開始する。しかし霞美は、百獣の王に匹敵する凄まじい殺気と凶暴性の持ち主だった。
あの手この手で距離を縮めようとする鋼音だが、ことあるごとに鉄拳で退けられる日々。どうにかして仲良くなりたい鋼音と、そんな鋼音が鬱陶しくて仕方ない霞美。
鋼音の初恋は実るのか。
そして、都会育ちのお嬢様が、わざわざ田舎の高校へ入学してきた訳。鋼音だけを特別嫌う理由とは……。