概要
川端康成の”自伝的小説”「少年」を『腐』の目で読み解く
川端康成の「少年」は、川端の青春期に、清野という少年との同性愛を描いた自伝的小説と言われている。少年期特有の友情を越えた性への執着や惻隠の情の物語かと思い、読んでみて驚愕した。川端の奥底の見えない虚無とコンプレックス、そして虚像めいた恋人の「清野少年」への帰依と自己愛。そして「少年」と同じ小説メモから書かれた「伊豆の踊り子」は一般に考えられているような平和な完成作品ではない。作者は「少年」で川端の実像を表していると思われる文章を一つ一つ論考し、文章文脈の裏にある「少年」に隠された秘密を解こうと思い立った。(後日談)この小考を書いた後にツイッターで「なるみ」さん(@naruminarumia)と出会い、「少年」にまつわる川端の日記、級友、石濱金作の著作などから推定されるかなりの実態を教えていた