第3話 異世界ハクスラFPSというパワーワード
異世界物のテンプレと言われてしまえばそれまでだけれど、どうやら俺は死んでしまったらしい。
「まぁ、死んでしまったなら仕方ないな」
「ずいぶん達観してるね、キミ」
「まぁ元の世界に未練ってあんまり無いしなぁ……心残りといえば、Devastation worldの続編ができなくなることくらいか」
「そうそう!本題がまだだったよ!!」
アルは思い出したように手を叩いた。水晶玉はいつの間にか消えていて、足元ではスライムがプルプルしている。
「キミ、この世界でハクスラFPSやってみない?」
「やるぅ!!」
「……」
「……?」
即答した俺をアルがジト目で見つめている。
異世界ハクスラFPS なんという甘美な響きなのだろう。
はぁ、と小さくため息を吐くと、居住まいを正して向き直った。
今の今まで陽気ウザい幼女のアトモスフィアを醸し出していたアルが、姿かたちは変わらないのに威厳のある風格を纏った様に感じた。
「コホン、説得する手間が省けたってことで、本題に入ろうか」
「あ、はい」
その雰囲気に呑まれた俺は、思わずその場に正座する。
「ボクがこの世界にキミを呼んだ理由っていうのは、キミにこのボク狩猟神の使徒として活動してもらいたいからなんだ」
「使徒……?」
「使徒ってのは神様の使いのことだね。神の目的を果たすためにある一定の使命をもって地上で活動する人間のことだよ」
「勇者となって魔王を倒せとか世界を救えとかか?」
「そんな大それた事なんてする必要ないし、この世界の魔王ってのは魔族種の王であって世界を滅ぼすとかそんな大それたことを考えられるような器じゃないよ。勇者っていっても勇者(自称)だし」
魔王はいるのか。
勇者(自称)って……。
「じゃあ、俺は何をすればいいんだ?」
「基本的には、キミが思うままに活動してくれていいよ!一つだけ条件があるけど」
無茶振りは勘弁してください。
「キミにはこのボク狩猟神の加護を与えるから、狩猟神の使徒として活動する傍ら、ボクへの信仰を広めてほしいんだ」
「信仰を広めるって言ったって何をすればいいんだ?俺は元の世界でただのサラリーマンだし、聖職者でも何でもないぞ?」
「それについてはこの世界と狩猟神の関係について話す必要があるんだけどね……」
そう言ってアルは俺を呼んだ理由を話し始めた。
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