第7話 狩猟神の魔導銃
俺の手元に現れたハンドガンは武骨な6装式リボルバーだった。
シリンダーを振り出すと、弾丸は装填されていないようだ。
「その銃は
「それはすごいな!」
狩猟神の魔導銃を様々な角度から眺めてみる。
グリップは俺の手にしっくりとなじみ、銃身には記号のような不思議な文字が羅列されている。色は艶消しのガンメタルブラックといったところか。
銃を両手で構えると、VRゲームで馴染んだ視点で固定される。本物の銃なんてものは初めて握ったが、5年以上毎日欠かさずプレイしてきたDevastation worldのおかげで違和感はない。
「頭の中で「リロード」と念じれば、弾丸が装填されるよ!ただし、弾丸装填には精神力を消費するから、むやみやたらに装填しないように気を付けてね!精神力が1割を切れば、リミットがかかって気絶しちゃうからね!」
そう頭の中で念じると、リボルバーが仄かに光って弾丸が装填されていた。
「精神力はゆっくりと回復するから、毎日寝る前にマガジンいっぱいに装填しておく習慣をつけておくといいかもね!」
それじゃあ撃ってみようか、というアルの提案に従って先ほど俺の指先を溶かしかけたスライムを探すと、20メートルほど離れたところでズリズリと這っているのを見つけた。
銃を構えて狙いをつけると、半透明のスライムの体の中にうっすらと赤く光る豆粒のような部分を見つけた。
「その赤く光っている部分が、スライムの弱点・いわゆる核さ。ボクの加護の副次スキル
スライムの核に狙いを定め、ゆっくりと引き金を引き絞る。息を吐きながら、吐き切らない程度で息を止め、体のブレを抑え込み、コトンと撃鉄を落とす。
ッパァン!
空気の引き裂かれる破裂音と共に、弾丸はスライムの核に命中、一撃で核を砕いた。
核が砕かれたスライムは、その体を維持できなくなりドロリと溶けて一瞬で地面へと吸い込まれるようにして消えた。
うん、すごいしっくりくる。銃を撃った瞬間の反動すら心地良い。
ゲームの時以上の一体感を感じた。
これはいい銃だ!!
「……」
ふと目を上げると、アルがあんぐりと口を開いて茫然と俺を見つめていた。
「な、え?……マジ?」
「どうしたんだ?」
「どうしたんだ、じゃないよ!20メートル離れた先の、3センチ程度のコアにどうやったら一発で初めて握る実銃で命中させることができるんだい!?そりゃボクの加護に命中補正もあるけど、尋常な腕前じゃないよ!!」
「練習だ!」
ガンマンとして一度は言ってみたいセリフ上位、白い悪魔さんの名言を引用して胸を張る。
実際VRゲームとはいえ、5年以上、日数にして2000日近く毎日銃を撃ち続けていたんだ。じっくり狙う時間もあったしな。
「ボクはとんでもない当たりを引いたかもしれない……」
「ところで、ドロップ品ってのはどうやって手に入るんだ?」
「あ、それね。スライムのいた場所にいってみようか」
アルの先導に従って、スライムのいた場所へ移動すると、小さな瓶が一つと、巻物が一巻地面に落ちていた。
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