第2話 狩猟神アルと名乗る少女
「ボクの名前は狩猟神アル、この世界で狩猟を司る神の一柱だよ」
アルと名乗った少女は、小さな体で薄い胸を張る。ギリシャ神話の狩猟神アルテミスに似た名前だ。
「この場所が異世界かどうかはさておき、現実世界だってことくらいは察してもらえたと思うんだけどどうかな?」
「VRには匂いも触覚もないから……か。確かに異世界はさておき現実なんだろう。もちろん夢でも幻覚でもないらしい」
「理解が早くて助かるよ!とりあえず、足元を見てもらえる?」
アルの言葉に従って視線を足元へ移すと、俺とアルの間に、半透明のゼリー状の物質がプルプルと震えていた。
「なんだこれ?」
「それはスライムって呼ばれる、この世界で最弱のモンスターだね!」
言われてみれば確かにこれはスライムだ。
俺はスライムに指を伸ばすと、スライムは差し出された指先を包み込むように体の一部を触手のように伸ばして指先に絡みついた。
ピリッ!
「あっつっっ!!」
熱したフライパンを触ったような熱さを感じて思わず指をひっこめた。
「なんだ今の……」
「スライムは獲物の表面を消化液で溶かしながらゆっくり捕食するんだ!」
「そう言うことは先に言ってくれ」
「ちゅーとりある、ってやつだね!(・ω<)b」
アルはてぺへろしながら親指をビシィ☆と立てた。
「うぜぇ」
「とりあえず、この世界が異世界ってことは理解できたかな?」
「確かに俺の世界にこんな生き物はいなかった……それで俺は、元の世界に戻ることはできるのか?」
「う~ん、それなんだけどねぇ……見てもらったほうが早いか」
アルはどこからともなく水晶玉を取り出し、見覚えのある景色を水晶玉に映し出す。
そこにはこじんまりとした1LDKの部屋と、モニターの前に突っ伏して眠っている俺の姿が映し出されていた。
「キミ、脳卒中で死んじゃったんだ」
マジカヨ……
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