ゴーカート編
世界三大〇〇
第1話 レースプリンセス、可憐様♡
『東京異世界ランド』からの帰り道、太一がゴーカートに乗りたいと言い出した。
「何でわざわざそんなことしないといけないの?」
「そうよ。それに、日に焼けるからイヤよ!」
いつもの大反対からこの物語ははじまる。
しいかは兎に角、あおいにこうも反対されるとは、太一も思っていなかった。
だが、あおいには反対しなければならない理由があった。
あおいは1年前に上映された映画『レースプリンセス、可憐様♡』に出演している。
しかも主役の姫野可憐を演じているのだ。
そしてそのときに、レーシングスーツを入手している。
映画で衣装協力をしたデザイナーからのプレゼントだ。
スーツがあることは普通ならプラスの要因となる。
水着を新調すると海やプールに行きたくなるのと同じ。
レーシングスーツを持っていればサーキットに行きたくなるものだろう。
あおいにとって映画出演時と同じ格好でサーキットをうろつくことは自殺行為に近い。
正体を明かしたくないのだから。
芸能活動を辞して太一のもとで巫女になるという決心が鈍ってしまいかねない。
こうも大反対されたのでは、太一も引かざるを得ない。
それが、まことの何気ない一言が、
あおいがゴーカート場に行くことを反対する理由を奪う。
「ま、レーシングスーツ無料の件は、お蔵入りってことっしょ!」
優姫が『東京異世界ランド』からの途中で知り合った人が偶々件のデザイナーだった。
その彼が8人分無料で提供すると申し出てくれたのだ。
当然、特別待遇だ。
「無料でスーツが手に入るんなら、はなしは別よ!」
「そうよ。ただなら楽しまなきゃ損だもの」
「ま、あとは現場で無料講習とレースのおまけをゲットするだけっしょ!」
あおいとしいかの大反対は5秒で終了。
こうして、太一達御一行は満場一致でゴーカート場に行くことになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます