第10話 ドライバーの交代

 スタート時のままSチームがCチームを押さえ込んでいたら、Kチームの圧勝で終わっていたかもしれない。だが、Cチームは2位に上がると猛プッシュ。あおいがスピードエリアで幾ら引き離しても、軽量で挙動が安定しないマシーンはテクニカルエリアで差を詰められてしまう。5周目の最終コーナーを直進し、ピットレーンに入った頃には、あおいはバックミラー越しにCチームのマシーンを見てしまう。リードはわずかとなっていた。


「お疲れ! 後は任せてちょうだい!」

「優姫、絶対に勝つわよ!」


 あおいを皮切りに、各チームの第1ドライバーがピットに戻ると、間をおかずに交代、第2ドライバーがコースに戻る。


「くそくそくそくそ、くっそぉっ!」


 Sの第1ドライバーは大荒れ、シートを譲ったあとも、興奮はおさまらない。


「ごめん。もう少し早く気付いていれば……。」

「たかたんさんの所為じゃないですよ。俺が、俺が……。」

「そう荒れるな。レースは続いているんだ!」


 その通りである。いや、寧ろ未だ始まったばかりと言った方が正しい。コースに戻ったマシーンは、K、C、H、Sの順にヘアピンをまわった。

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