第12話 乳休め
「大分差を詰められてしまいました」
「ま、悪いのは全部あおいっしょ!」
優姫のあとを継いだまことが悪態を吐く。張本人のあおいは、ギャラリーに向かって大サービス中だった。
「私は勇者を守護する存在に過ぎませぬ! (ったく。面倒臭いっちゅうの!)」
内心とは裏腹に爽やかななまだしあの笑顔が炸裂する。男達は皆、大喜び。
レースは、一進一退の攻防を続けていた。それでもKチームはまことに続いてまりえ、あゆみがトップを守り切り、第6ドライバーのしいかに繋げた。このあとは、太一が走ることになっている。アイリスは体調が優れないようで、様子を見つつ回復をはかるために、最終ドライバーにしたのだ。
ピットには、そのアイリスが倒れている。いくつかの原因が重なっているのだが、フリー走行の際におっぱいが遠心力に負けてしまったことと、アイリスが替えのブラジャーを忘れてきてしまったことが主な原因だ。
「……痛くて熱くて死にそう……。」
「テクニカルエリアはすっごいGだね!」
「私も、何度も千切れそうになりました……。」
まりえや優姫がアイリスを庇う。そこへ太一が慰労にやって来る。
「みんな。大分お疲れだね!」
「あっ、マスター。ありがとう! けど、全然疲れてないよ」
「疲れというよりは、痛みでしょうか……。」
「男の鱒宮司やあおいさんには分からないでしょうけど……。」
「ちょっと! 私には分からないって、どういうことよ!」
アイリスに言われたあおいが遠くからすかさず突っ込む。ヘルメットは被り直したものの、1度合った男達の目線は、簡単には剥がれなかった。だから、あおいは仕方なく相手をしている。そんなサービス精神旺盛なあおいに向かって、無慈悲なまりえが言う。
「おっぱいのはなしだから!」
あおいを囲んでいる男達の目は一瞬で吊り上がり、まりえを睨む。だがそれも一瞬で、直ぐにあおいに戻り、今までよりもずっと優しくなる。それはまるで、貴女のおっぱいは成長しなくって良いのですよ、と言っているようだった。賛美の目と捉えれば、あおいには悪い気はしなかった。それに、痛がっているアイリス達を見ると、そんなに痛いんだったら貧乳でも良いなと、あおいは少しだけ思った。
「あっ、そうだ! マスター。あれやって!」
「あれ? あぁ、良いよ。使って!」
まりえにせがまれて、太一が胡座をかく。小さく畳んだタオルを当てて膝立ちになったまりえは、よいしょっというようにして、太一の背中側から頭の上におっぱいを乗せた。乳休めだ。まこと、あゆみ、アイリス、優姫が弓なりに並び視界を遮っているから、C、S、Hのメンバーは、何が行われているのか分からなかった。だが、彼等の相手をしていたあおいは、彼等や4人の細い身体の隙間から漏れる情報だけでも、乳休めの真っ最中だということが分かった。このとき、あおいは心の底から貧乳であることを呪った。
「ふふふ。マスター、次は私もお願いします」
優姫は恥ずかしげもなく、2番手をリクエスト。太一も気安く応じる。本当は人一倍乳休めがしたいアイリスだったが、恥ずかしくって言えない代わりに、黙って太一を見つめていた。ブラジャーを忘れて着替えることができず、汗ばんだまま太一の頭で乳休めするのを嫌がっているのだ。優姫はそんなアイリスの様子に気付いたから、わざと大きな声で言った。
「マスター! あと3人、大丈夫ですか?」
「あぁ。優姫に言われたんじゃ、断れないよ!」
「ふふふ。ありがとうございます。あゆみ、お次どうぞ!」
優姫はそう言いながら、先ずはあゆみに微笑みかけたあと、チラリとうずくまるアイリスを見て、もう1度あゆみを見てウインクした。こうしてあゆみの合図を送っているのだ。あゆみは、優姫がアイリスにも乳休めさせてあげようと思っているのだと気付いた。だから、太一に向かって元気に言った。
「うん。じゃあ、順番にお願いします!」
「ま、自分は最後で充分っしょ!」
優姫に誘われても未だ少し躊躇いの残るアイリスを、もう1度あゆみが押し、最後はまことが押した。そこまで整えられては、アイリスに拒否権はなかった。こうして、優姫の次はあゆみ、アイリス、まことの順で乳休めすることになった。
レースは意外なほど重労働であることと、レーシングスーツの気密性が高いことから、太一の上に乗ったアイリスのおっぱいは、かなり湿っていた。若い汗の匂いが、太一の鼻を刺す。
(おっぱいは、すっぱい!)
そんなことをしているうちに、しいかが帰還。太一は直ぐに交代した。他のチームもエースドライバーに代わり、あとを追う。K、C、H、Sの順番は変わらない。
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