エロスの形

 タイトル通りの物語を表現豊かな美しい文章で綴った良作。見せないからこそ神秘的なエロスが生まれるんだな、と思い、そもそもエロスはどこに翼を休めるのか考え込んだ。それは「私」の身体なのか、優太の目の中なのか、それともクロッキー帳の中なのか。

 見られたい「私」と見たくてもシャイで、まごまごする優太の探り合いも面白かった。ここでは二つの異なった「恥ずかしさ」が対立していると思う。一つはいわゆる露出狂と呼ばれ顰蹙される行為の恥ずかしさと、全裸の女性を見ることに対しての男子の恥ずかしさ。同じ恥ずかしさでも実際はまったく違う。しかしこの二つは二人の純愛の基ともなっているのではないだろうか。

 誰にでもお勧めできる作品である。

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