にいづましょうぎ

作者 すだチ

49

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Good!

【物語は】
ある幸せの絶頂から始まり、現在の状況へと場面が変わっていく。彼女の現在の状況は誰が見ても、幸せとは言い難い。
主人公は夫のことが好きだからこそ、束縛すべきではないと考え、彼にやりたいことをさせてあげていたつもりであった。だが段々と、彼の心が将棋に奪われていき、今ではなんのために結婚したのか分からないほど。
主人公は、ただ大好きな夫と一緒に居たいだけなのだ。彼のことを想い考えながら、一緒に過ごせる方法を模索していくのだった。

【将棋が分からなくとも、楽しめる作品】
この物語の主人公は、全く将棋を指したことのない初心者。夫と一緒の時間を共有したいがために、彼の好きな将棋を学ぼうとする。とても健気で、努力家の女性だ。善は急げと言わんばかりに、夫と同じ道場の門をくぐる。そこで見たのは、真剣に将棋を指す夫の姿であった。
心理描写が多く、将棋を打つところを見ている側の心理で読むことのできる部分がある。
TVなどでの将棋の中継や解説は堅苦しく、理解するのが難しいイメージであるが、この作品は取っつきやすい。

用語についても、その都度説明が入るが、主人公が初心者なので読み手に将棋に対する知識がなくても、分かりやすい内容となって居る。

【主人公と夫】
この物語での主人公の目的は、夫の愛を取り戻すこと。その手段が、夫の夢中になっている将棋である。
この物語では、ある会話から閃きを得、そこから別のエピソードに繋がるなど、自然な流れで話が進んでいく部分もある。将棋を上手く日常のエピソードに取り入れていると感じた。

主人公は将棋がきっかけで、夫と心の距離が出来てしまう。しかし同じく、将棋をきっかけにして、また心が近くなっていくのである。
自ら将棋を学ぼうとしてからは、夫が自分との仲について悩んでいたことを、知る機会が増えていく。そこで主人公は、夫の気持ち、本心に気づいていくのだ。… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

『にいづましょうぎ』は「将棋」と「夫婦の仲」を修復するという、斬新なニッチを掴んだ面白い良作。すぐさま物語にのめり込んでしまい、さっと四章の終わりまで読了した。

この作品の最大の魅力はワイワイとした楽しい登場人物たち。主人公の香織と夫の修司はラブラブで、それだけでも読む価値があるのだが、二人を取り巻く将棋仲間も面白い。初心者と握手するチャンスなんてもう二度とないだろうから手を洗わないと言う毒舌家から、対戦相手がまともな将棋を指せなくなるほど魅了する適役。個性的な人物が続々と登場する。

文章も軽くとても読みやすい。初心者の一人称のお陰で、将棋を知らない僕でも簡単に読み進めることができた。だから将棋ファンからルールをちょっと知っている人まで万人にお勧めできる作品だと思う。作中に局面の挿絵を入れて解説してくれるので、その点でも読者に優しく、作者さんの将棋に対しての愛を感じる。

★★★ Excellent!!!

将棋モノというよりは、将棋を中心に繰り広げられる人間ドラマです。主に新婚夫婦のラブストーリーといった感じです。
まず将棋が実に魅力的に書かれています。私は将棋はほとんど知らないのですが、思わずやってみたくなりました。登場人物達のうねるような想いや願いが、将棋盤に収束していくかのような描写は見事です。これはバトル物です。熱いですよ!
あと主人公の心情描写が鮮やかです。入りやすく、共感しやすく、そして力強く引っ張られる。とても楽しく読めます。
何より文章がめちゃくちゃ上手い。独特のリズムがあって、グングン読めるんです。文章の勉強までさせていただきました。
とにかく凄い作品です。将棋に興味のない人も、ぜひ読んでみてください!