第11話 異名、蹴りあげのガブリエル

 やんちゃ令嬢から、蹴りあげのガブリエル、という望まれない異名を取ってしまった令嬢ガブリエル。

(おかしい。私は悪役令嬢のはずよ? それがどうして、蹴りあげ令嬢と呼ばれるようになったのかしら? わからない……)そう、前世は女子学生プロレスをやっていたガブリエルは思った。

「私の可愛い妹ガブリエル、怖い思いをしたわね?」相変わらず姉エルモは優しい。

「お姉ちゃん、私、ケダモノに襲われそうになって、ついつい蹴っちゃったの」そのついついが、そのケダモノの人生を狂わすことになっていた。

 まあ、そんなことは置いといて。

「お姉ちゃん、私、これから一生、蹴りあげ令嬢って呼ばれるの?」そう言うガブリエルは、あえて涙声で言った。

「大丈夫よ? お姉ちゃんである私がいるからね」と姉エルモは涙声で答えた。

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