第13話 とあるウワサ

「そう言えば、こんなウワサを聞いたけど?」レオンはそう言った。

「あら、どのようなウワサかしら?」姉エルモが聞く。

「いやさ? ガブリエルを襲いかかったケダモノの話だけどね? 王族の王子だったから、我々貴族の評判が民たちからして悪くなっている。って」

 それを聞いた蹴りあげ令嬢ガブリエルはこう言った。

「あらら? あのケダモノさんのことかしら?」

 ここでレオンは笑う。

「アーハッハッ! ケダモノ王子が蹴りあげ令嬢に人生を狂わされた上に、民たちからは国家に対する不信感が出ているらしい!」

 それを聞いた姉妹であるエルモとガブリエルは顔を見合わせた。

「それはなんですか? 私が悪いって言いたいの?」妹ガブリエルはちょっと怒っている。

「あはは、違うよ? でもね? ガブリエルは気をつけた方がいい! 今や悪役令嬢ガブリエルなんて呼ばれているからね!」レオンは笑いながら言った。

 姉妹は顔を見合わせた。わかってはいるのだろう。姉エルモは妹ガブリエルの変化に。ゴンッと頭をぶつけたあの日から、妹ガブリエルが変わったことに。

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