第19話 決着は一瞬で

 武闘派令嬢カルリーノは接近して打撃戦に持ち込む。パンチやキックをガードしている悪役令嬢ガブリエル。防戦一方のガブリエル。

 その時である。

 カルリーノはクルッと背中を向けたかと思えば、蹴りをガブリエルのアゴに命中させた。

 ガブリエルはうしろに倒れた。

 あまりにもあっけなかった。

 そして、カルリーノは何も言わずに立ち去ろうとした。

 その時、勝負は動いた。

 待ってましたと言わんばかりに、悪役令嬢ガブリエルはカルリーノの背後を取った。カルリーノの腰にガブリエルは両手を回してガッチリとつかんでいる。

 そしてーーーー!!

 悪役令嬢ガブリエルはカルリーノをガッチリつかんだまま後方に向けてジャーマンスープレックスで投げ落とした。

 まさに、前世は女子学生プロレスをやっていただけのことはある。

 見事なジャーマンスープレックス。

 もはや芸術の美に達していたジャーマンスープレックス。

 ここに観客が居ないのが悔やまれる。

 それほどまでにキレイな投げっぷりのジャーマンスープレックスであった。

 しばらくは技を決めた体勢でガブリエルとカルリーノは動かなかった。ガブリエルは意識がある。カルリーノは意識がない。気絶しているカルリーノ。

 それから、ガブリエルは技が決まった体勢を解いて、地面に倒れ込む。

「やっと勝った……!」

 悪役令嬢ガブリエルは空に向けて拳を挙げた。

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