第2話 (ウソでしょ?)
ガブリエルはしばらく自分の部屋に閉じこもっていた。鏡をじっと見つめる。映し出されるのはガブリエル本人の姿、ストレートのロングの髪、メイクは目が強調されあとは程々、黄色の派手なドレス、十三才にしては気がキツそうな顔、しかし美少女で可愛らしい。
(ウソでしょ? 私がガブリエル? あの乙女ゲームの悪役令嬢ガブリエルになったって言うの?)そうガブリエルは思いながら、先ほどゴンッ! と強く打った頭を両手で抑えている。
コンコン、ノックが聞こえて姉エルモが部屋に入って来た。
「ガブリエル? 本当に大丈夫?」心配そうなエルモ。
「大丈夫だって思う……」
姉エルモはセミロングの髪、メイクは念入りにされていて十四才には見えない、派手でも地味でもない青のドレス、美少女である。
(エルモって可愛いなぁ、確か乙女ゲームの中だと、その天然系の性格で他のイケメン貴族たちからモテモテなのよね? それにひきかえ私は悪役令嬢ガブリエルだから同性はおろか異性からも嫌われているという……)
「ねぇ? 次のパーティーはどうするつもりなの?」エルモが聞いた。
「え、えっと、行かないけど?」ガブリエルはそう答えた。
「あら、どうして?」エルモはちょっと驚く。
「だって、私は嫌われているから」
ガブリエルがそう言った。それを聞いた姉エルモはクスッと笑って、妹ガブリエルをギュッと優しく抱きしめた。
「ガブリエル? 大丈夫! 私が守ってあげるから」
姉エルモはよい香りだなぁとガブリエルは思った。
しかし、ここで一つの問題が。それはガブリエルの前世の記憶が曖昧であり、つまりはこの乙女ゲームの世界のこともボンヤリとしか覚えていないことだ。
(私はどうしたらいいんだろう……?)ガブリエルは不安になった。
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