幽霊、吸血鬼、霊感少女。一番、惹かれるのは…?

 最早、自己のスタイルを確立しているといっても過言でないayaneさん。安定して面白いです。通常、安定は停滞やマンネリに繋がるのですが、そこはやはりプロです。文章も安定していますが、最も安定しているのは面白さ。

 学校の怪談という、どこにでもある話と幽霊、そこへ吸血鬼に、それにと関わる霊感少女。お約束の登場人物ですが、文章全体のセンスが凄いです。

 Sideと名付けられた章ごとの登場人物の一人称だけれど、物語の中に自分自身が第三の観測者として入り込める、そんな気がします。

 そうして俯瞰的に見てみると、私が惹かれるのは主人公たちでも、仇役でもなく、主人公の友達たち。

 もし自分が現実に、この物語の中にいたら? 主人公から学校に潜む怪異や危険を説明されても理解するのに時間がかかり、実際に自分の身に起きてみても、理解だの判断だの、様々な事で手間取るのは間違いない。

 そんな中、友達たちはスピーディに事態に対応していく。

 ご都合主義? 違います。

 信頼関係だと私は思います。信頼関係もご都合主義的に書ける点ではありますが、この物語に関していえば、主人公にそれだけの魅力があると納得できます。

 それと共に脇役達の魅力でもあります。

 そんな魅力ある登場人物の物語だからこそ、安定して面白いと私は思うのです。

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