美術室の美男子幽霊と十人目の少女
ayane
プロローグ
1
――五十年前――
この学校の生徒だった俺は、霊感が強いばかりに学校に
やがて悪霊と化した地縛霊たちは、霊力のある俺を恐れ、放課後美術室で絵を描いていた俺を捕らえ呪いをかけようとした。
命からがら逃げ延び、車道に飛び出した俺の目の前には、大型トラックが迫っていた。
悪霊に呪われるくらいなら、転生して勇者になってやる!
悲鳴のようなブレーキ音とドンッという鈍い衝撃音。体が宙を飛び、地面から無数の黒い手が伸び俺の体を掴んだ。
――そう……俺は失敗したんだ。
トラックに跳ね飛ばされたが、転生するどころか、俺の体は奴らに捕らわれてしまった。
――俺は悪霊に呪いをかけられ幽体となる。
『美少女十人の魂を抜き取り絵画に封じ込めることが出来たなら、お前の呪いはやがて解けるだろう。この世に甦りたければ、美少女の魂を絵画に封じ込めろ』
俺をこの世から消し去ったことで、奴等は俺の霊力を封じ込めたつもりだった。
――だが……
俺は幽体となったことで、さらに彼等より勝る力を持った。
『俺の体を消し去った醜きお前らを、この地底に封じ込めてやる!』
――勢いで発した言葉。
だが両手を前に突きだし念じただけで、手のひらから不思議な光が発射され、悪霊の体に大蛇の如く巻きつき光の
俺はこの学校に蔓延る悪霊を、校庭の桜の木が植えてある地底に封じ込めたのだ。
彼らは俺の力を、完全に見くびっていたようだ。
もう誰も俺に手出しは出来ない。ただしこの体は悪霊に呪われたままだ。
天国に逝くことも、地獄に堕ちることも、転生することも勇者になることもできない。
従って、この美術室が終の住処だと諦めていた。
――十人目の彼女が俺の前に現れるまでは……。
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