第14話 守護神就任

プロデビューして1ヶ月経ち5月へとなった。

世の中はGWだが野球選手にはGWなんか無い。

けど、俺は苦ではない。何故なら多くに人が野球を見てくださるからだ。



これまでの成績は.325 本塁打8本 打点26 盗塁6

本塁打と打点はリーグ2位 打率はリーグ3位 盗塁は7位


投手成績は15試合 3勝 0敗 防御率.000 奪三振 46 ホールド10 セーブ0


高卒1年目にしては完璧すぎる成績だ。


そして今日5月1日からチームの守護神を任せられることになった。


そして今日の試合は西武戦


展開は1回の表の西武が山川選手の2ランと6回の外崎選手のソロで3点と取っている。


ロッテは4回井上選手の2ランと7回の藤岡選手と田村選手、荻野選手の連続タイムリーで3対6で勝っている。


俺は9回に向けブルペンで肩を作っているところだ。


腕をしっかり振り下ろし構える所にきっちり投げる。

未だ最速は166kmだ。

このままじゃ世界最速を1年目で出してしまいそうな勢いだ。

けど今は球速にこだわらずに結果を残さなければならない。

ましてはクローザーだ。セーブ失敗したらチームの雰囲気も悪くなる。


8回は益田さんがしっかり抑えロッテ攻撃が終わり井口監督が審判の元に向かった。

それとほぼ同時にピッチングコーチがブルペンに連絡が来てブルペンカーに案内されたがそれを断り走ってブルペンに向かおうとする。

初めてセーブシチュエーション時は走ってブルペンにいこうと決めていたからだ。


『ピッチャー益田に代わりまして山本雅博』とのアナウンスにスタンドは沸き立つ。

今日は金曜日のナイトゲームのため登場曲がフライデーナイトファンタジーだ。



ブルペンに到着しキャッチャーと作戦を相談して投球練習をした調子はそこまで悪くなく影響無いと思う。


事前に俺が捨て玉が嫌いというのを伝えているため捨て玉は無く3球勝負で行くだろう。



ラストでキャッチャーがセカンドベースに入っている三木選手に送球し打者のコールが始まった。


対するはクリーンナップ秋山、山川、メヒアでリーグ最強と言っても過言でも無いクリーンナップだ。


最初は秋山選手。

2球とも160kmを優に超えるストレートでインコールを突いた。


2ストライク0ボールの3球目は外角のスプリット。首を振らずに俺は武器であるスプリットをかけた。


秋山選手のバットは空を切り三振になった。

まず1つ。


山川選手は積極的に振ってきて2ストライク1ボールになった。

1ボールはスライダーが外れてボールになった。


田村選手が出したサインはストレート。

ミットは外角低めに構えており俺はミット目掛け腕を振った。


「カチッ!」とちょっと詰まっている音打球は外野の定位置に飛びレフトフライ。

これで2アウト。


田村選手のサインは外角のストレート。セットポジションから腕を振り投げた!

「パンッ!」と乾いたミットの音

今日最速の165km

これで1ストライク


2球目はタイミングを外すかのようにカーブ。

縫い目に添い腕を振った。

ボールは1バウンドしてミットに届いたがキレが良かったのかメヒア選手が空振り2ストライク。


俺は汗を拭きサインの確認をした。

田村選手はストレートのサイン。

インコースズバッと決めるかのように俺はインコースへと向け思いっきりなげた。


「ああっっっ!」とうねりながら投げた。


「パンッ!」と構えているミットを動かさずに決まった。


審判は見逃し三振をジャッジし試合終了。

最後の球は167km。自己最速


俺は軽くガッツポーズをし田村選手とハイタッチをした。


俺たちは1塁線に立ちファンの皆さんに頭を下げ、ベンチに帰った。


俺がベンチでアイシングの準備しようとすると、

「マサ!we are行くぞ」と鈴木さんが言ってきて俺は付いていった。


「今日はマサが言え」と言ってきた三木選手。

「OKです」と言い拡張器を手にした。



そして俺はスタンドに向かって叫ぶ。

「勝ちましたーーーーーー!!!それでは行きます!!we are!!」

「「「we are」」」

「we are」

「「「we are」」」

「千〜葉〜ロッテ!」

「「「千〜葉〜ロッテ!」」」とロッテ名物のwe areが始まった。


選手もしっかり肩を組み飛び跳ねた。


we areが終わり選手たちは拍手をしベンチに戻っていった。


「おつかれ」とピッチングコーチが寄ってきた。

「やっぱ西武打線は怖いですね」

「だな。けど抑えるお前も凄かったぞ!167kmか!世界最速まであと3kmだな!がんばれよ」

「はい」と返事をし家路を急いだ。




球場前でタクシーを拾い家の近くのコンビニで下ろしてもらい家の玄関に着いた。


「ただいま〜」と寝ているかもしれない香織に遠慮した挨拶をすると、

「おかえり〜」と返ってきたため少し急ぎ香織の元へ行った。


「まだ起きてたのか。お腹には赤ちゃんいるんだから早く寝ないいけんだろ」と注意を促した。

「ごめんね。でもやっぱり雅博くんが帰ってくる時に私が寝てたら申し訳ないじゃ無い。普通は旦那さんより早く寝てはならないというでしょ」

「そんなもん、気にすんな。赤ちゃんに何かあったらどうすんだよ。けど俺は嬉しいよ。そこまで真剣に考えてくれて」

「うん。じゃ11時過ぎたらこれから寝るね」

「ほんとは10時半には寝てほしんだが…まぁいっか。そうしてくれ。それとただいま」と言い頬に口づけした。



「5分ぐらい前に風呂沸かしておいたからお風呂に入ってきたら?私はベットにいるから」

「ああ。そうさせてもらうよ」と言い風呂場に向かった。


風呂はまだ暖かく冷えた身体をじっくり身体を温めることができた。

そして風呂に入っている際最近考えているのは子供と一緒に入っているのをよく考えている。男の子なら俺と一緒に入り女の子なら香織と一緒に入るのかと。

(男の子なら香織に似て色白の美青年になるのかなと思うが俺には似て欲しくないなぁ。女の子なら香織に似て美人な子なのかなぁ。娘かぁ、嫁に出したく無いなぁ〜)


俺は風呂を上がり冷蔵庫のスポーツドリンクを飲みベットに向かった。


ベットには先に入っていて可愛い寝顔をしている。

起きているときは美人でクールなイメージを出しているが俺の前では甘えん坊でしっかりした奥さんだが寝ているときは少女のような無邪気な顔をしている。


「愛してるよ香織」と耳元で囁き額に口づけをした。


いつものことだが、俺がベットに入ると毎回俺に寄ってきて身体を寄せてくる。

投手は腕が命の為、腕枕はしていないが俺はいつもうつ伏せで寝ている。


「おやすみ香織」と言い俺たちは深い眠りへとつくのであった……

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勝利への道 山本霄蔵 @Last-dance

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