第13話 対ソフトバンクホークス 第3戦

開幕は2連勝したものの3戦目は負け、それからソフトバンク戦の2試合も負け3連敗中だ。

俺は投げる機会がなかったが打席にはフルイニング出場した。

成績は、楽天との3戦目は1打席目から三振 中安打 二ゴロ 左二塁打 盗塁1 打点1 4打数2安打

ソフトバンク1戦目 中安打 右安打 三ゴロ 中三塁打 盗塁3 打点1 4打数3安打

ソフトバンク2戦目 三安打 左本塁打 右フライ 一フライ 盗塁1 打点3 4打数2安打1本塁打


これにより成績は打率.615 2本塁打 9打点 盗塁5と高卒1年目ではあまり無い成績を残した。

盗塁面では『甲斐キャノン』と評される甲斐選手から4盗塁出来たのは嬉しい。

俺は打撃面と投手面ばかり注目されていたが、元は俊足堅守型というのは知っておいて欲しかった。

守備に関しては捕手以外の内外を全て経験したこともあり、野球部入った当時は自慢の足とユーティリティ性を武器にやっていこうと思っていた。


そして3戦目。

本来なら石川投手が投げるつもりだったが、宿泊先で異常を感じ登板回避した為俺に白羽の矢がたった。俺がそれを聞いたのは今日の朝で驚いたものの試合は6:00からなので間に合うように一生懸命調整した。


そして、丁度今スタメン発表が球場内で起こっている。

因みに、このことを知っているのは球団関係者だけでメディアには公表していない。

幸いにも石川投手は何事もなくてよかった。


電光掲示板(オーロラビジョン)

千葉ロッテ ソフトバンクホークス

1番 荻野 RF 1番 牧原 2B

2番 藤岡 SS 2番 今宮 SS

3番 中村奨 2B 3番 柳田 CF

4番 井上 1B 4番 デスパイネ DH

5番 山本 P 5番 中村 LF

6番 レアード 3B 6番 上林 RF

7番 角中 LF 7番 内川 1B

8番 田村 C 8番 松田 3B

9番 岡 CF 9番 甲斐 C

P 千賀



このようなオーダーだ。

特に警戒ポイントは下位打線だ。7番内川 8番松田 9番甲斐と抜け道がなく打たれ出したら抜き出せづらい為警戒している。

もちろん、強力なクリーンナップも警戒だ。結論、全員を警戒しないといけない。



そして、試合が始まった。

1回の表の攻撃は 荻野 左安打 盗塁失敗

藤岡 三振

中村 遊ゴロ


これから、ホークスの攻撃になる。

俺はベンチ前でキャッチボールを終えマウンドに向かった。

プロ初の先発登板。もちろんヒットは1本も打たせる訳無い。

ノーヒットノーランや完全試合は厳しくてもなるべくランナーを出さないようにすると決めた。

もちろん、チームを勝たせる為。

見に来てくださったファンの方々に勝ち試合を見せたい為だ。


1番牧原選手が打席に入りその初球。


田村捕手はインコースに構えており全力のストレートを放り込んだ!

「パンッ!」

『ストライク』

球速164km スタンドはどよめいている。


その次はストレートのアウトロー。

俺は腕を振り下ろした。

ストレートは綺麗な回転をしながら一直線に走った。

牧原選手も負けずにフルスイング。だが当たらない


『ストライク2』とのコール。

これで追い込んだ。

それに163km


3球目はストレートのサインが出たが、俺は遠慮せずに首を横に振った

サインは変わりカーブ。俺のカーブは世間一般的に言うドロップカーブでありキレには自信がある。もちろん、持ち玉全てに自信がある。それは投手としては当たり前だ。


俺は捕手が構える低めに向けカーブを放り込んだ。


ボールは上に上がり打者がスイングし始めるとほぼ同時に急激に落ちた。

ボールはワンバウンドして空振りを奪った。

三振だ。


1番の牧原選手の三振をきっかけに1回の裏は三者凡退で最速164kmを計測し、攻撃が終わった


そして第1打席は1アウトランナー無しの場面で三振してしまった。フォークボールだった。

流石の『お化けフォーク』だ。


2回の裏も調子良く3者連続三振で抑え、6者連続三振だった。


3回の表の攻撃も三者凡退だった。


俺はもう一度気合いを入れ直し3回の裏のマウンドに立った。

3回の裏も3者連続三振で9者連続三振となった。

3回は全球ストレートで勝負したが甲斐選手がファールを打っただけでバットに当てずに抑えたが気は抜けない。


4回の表の攻撃はまたしても三者凡退だった。おまけに3者連続三振…


4回の裏のマウンドに立つ頃は7:00になっていた。

今度は3回と真逆の変化球オンリーという変わったリードだったが3者連続三振だった。

そして思ったことがある。

(あれっ?俺、なんでこんなに三振奪れてるの?)と。よく考えればそれほど良いピッチングしたと考えた。

これで12者連続三振だ。


5回の表、1アウトランナー無しで打席が回って来た。

もちろん、ピッチャーは千賀だ。

さっきは三振だが今度は打つ


おそらく、初球はストレートと思う。だからなるべく初球から振っていこうと思う。


千賀が振りかぶり、俺は足を上げると同時投げて来たボールに思いっきりスイングした。


「カンッ!」と気持ちいい音がなりバットを軽く投げた。

音でホームランとわかった。結構完璧なホームランだ。


打球は高々に打ち上がり飛距離的には十分だ。


そして、レフトビジター応援席に入った。

ビジター応援席はどんちゃん騒ぎ。

山本コールが鳴り響く。ホークスファンはちょっと残念そうだ。

ベンチ前でハイタッチをしてビジター応援席の方面を向き一礼する。



そのあとは5回、6回、7回、8回まで完璧に抑えた。

ここはあえてフラグを建てないようにする。


3打席目は中フライだった。


そして、9回の裏になった。


未だ誰も塁に出していない。完全試合ペースだ。

打順は7、8、9の下位打線だが強力だ。


そして、今のところ2アウトを取っておりあと1人だ。

ホークスの9番は甲斐。

打率は去年もよくは無かったが打たれれば長打もある。


そして、ここで三振を奪れば今日20奪三振になる。


田村捕手のサインはストレートを外角。

俺は振りかぶり投げた!

球は一直線にミットの中に向かう。

けど、ボールか!?


「パンッ!」とミットの音

判定は、

『ストライク!』

球速は今日最速165km


まず1ストライク。


次のサインはスライダー

インコースに構えている。

「少し、威圧するか」とボソッとマウンドで呟き、投げた。


甲斐は当たると思いボールを避けたが身体から1メートル程のところで急激に曲がった。

俺の狙い通りだ。

そのまま、構えていたミットに収まりストライク!


あと1球だ。

最後はアウトハイのストレート要求。

高めのボールは打たれる可能性があるが、三振を奪れる可能性もあるが迷わず俺はアウトハイに向けて放り込む。

「うっ!」と唸ったが思いっきり投げた。

打者はボールと思い手を出さない。

確かにボール球だ。


判定も勿論『ボール』

球速は自己最速の166km


4球目はスプリット。

今日、1番三振を奪っている球種だ。

俺は迷わず振りかぶった。


打者は振り決めたかスイングへと移行していた。

落ちろ!と思い身体を思いっきり捻った。

バットは空を切り三振で抑え完全試合を達成した。


『ストライク!バッターアウト!』

甲斐は振り逃げを狙ったが田村捕手が素早くタッチしてアウトになったと同時に田村捕手を含め内野手、外野手、ベンチから走ってこっちに向かって来た。


俺は、軽くガッツポーズをし腕を上げた。

プロ初の先発で完全試合達成。高校時代は時々していたがやっぱりプロでするのとは全然違う。


田村捕手は抱きついて俺を軽くジャンプし田村捕手が持ち上げたが俺の体重が80kgオーバーしているわけかすぐに落ちてしまった。

選手たちが集まり俺の頭を叩いたり、抱きしめられたりされもみくちゃになった。


ビジター応援席からは凄まじい歓声に包まれている。


そして、球場内でアナウンスが鳴った。

『山本選手完全試合達成です。勝利投手 山本 敗戦投手 千賀』

ホークスファンの方々も拍手してくださっている。

応援しているチームが完全試合されているがこうやって完全試合達成したら拍手をいただけるのは本当に嬉しい。



ヒーローインタビューは勿論俺だった。

内容は完全試合を達成した感じ、ウィニングボールはどうするか、これからについてだった。


完全試合達成した感じについては、味方の好守を含め野手の皆さんのお陰でこの完全試合が達成されたと。8回の裏の2アウトで上林選手に投げた5球目はライト前に持っていかれたかと思ったら井上選手が飛び込んでくれライナーアウトに出来た。


ウィニングボールについては、実家に送り飾ってもらうようにした。


これからについては、チームと話し合って決めるとそれだけを言いヒーローインタビューを終わらせた。


勿論、ベンチ裏に帰ってからも揉みくちゃになった、が皆から喜んでくれてもらっているのは本当に嬉しかった。


Railでも長谷田時代の後輩や先輩、同期に褒められた。


そして何より最愛の妻、香織からも電話が来た。

けど、ロッカールームでみんながいる。


俺はロッカールームを出ようとしたが井口監督に引き止められそのまま電話に出た。


「おめでとう!!雅博さん!!」

「ありがとう香織。今日の俺どうだった?」

「とてもカッコよかったよ!!」

「よかった。でもいつもはそんなにカッコよくないんだ〜」とからかった

「もぉ〜自分から言わせておいてそれはないでしょ。勿論、いつでも貴方はカッコいいよ。私の自慢な旦那さんだよ。愛してるよ」

「俺も愛してるよ。けど、この会話ロッカールームでスピーカーモードになってるからみんなに聞かれてるよ」

「えっ!?それ先言ってよ〜恥ずかしいよ。」と言った。

あぁもう可愛いなぁ‼︎

「ったく、本当に可愛いなぁ。おまけに広報カメラも回ってるぞ」

「もぉ〜!恥ずかしいよ。私になんか恨みあるの〜」

「あるわけで無いじゃん。愛しの香織に恨みなんかあるもんか!どんな時でもどんな香織も心から愛してるよ!俺と結婚してくれてありがとな!」

「結婚のことは私から言ったから私が貴方を欲しがったから私と結婚してくれてありがとうだよ!!これからも頑張ろうね!!」

「おお!勿論!!1つでもチームが勝てるように頑張るよ!」

「うん!頑張ってね!それと貴方に重大なお知らせがあるの」

「お知らせ?何かあったか?」

「ふふっ。貴方と私に命が宿りました!!」と爆弾発言。

それにすかさずチームメイトは反応。

「「「おおおおおぉぉぉぉぉぉ」」」

俺たちに赤ちゃんが出来た。信じられない!!

「よっしゃぁあ!!」と俺は叫んだ。

今日は最高な日だ!

「母さんたちには伝えたのか?」

「うん、貴方のお義母さんも私のお母さんにも伝えて喜んでもらったよ!」

「OK!!て言うことは妊娠3ヶ月目?」

「そうだよ!」

「と言うことは婚約が決まった時に宿ったのか!!」

「バカっ!声大きいよ!カメラ回ってるし皆さんもいるでしょう!!」

「ああ、すまん」このことは、大声で婚約が決定した時にシた行為をしたと大きな声で告白したことになる


「と言うことは出産は12月?」聞いて来た荻野選手に対して香織は

「はい。およそ11ヶ月て聞いたので12月です」

「それはそれは、おめでとうございます」と荻野選手を筆頭に次々に御祝いの言葉をいただいた。


しばらくしたら、電話を切り明日の遠征先の大阪に向かった。


今日は最高の日になった


今日のストレート平均球速は162.6km

平均回転数は2046回







作者より

平成の次の年号が『令和』に決まりましたね。

私はちょうどテレビをつけておりリアルタイムで見られたことが嬉しかったです。

ツイッターでは『令和18年』というワードがトレンド入りすると言う面白い展開になりましたがふと疑問があり、英語は『R』なのか『L』なのかがわからなくなりました。ローマ字書きなら『R』になりますが、令和18年生まれの人に『R-18』と弄られなければいいのですが…

かと言って18年後ですけど…

その頃は結婚できてるかなぁと思う作者ですがほぼ不可能ですねww

有に30歳は当然超え、40、50になってるかも知れませんが…


話は変わりますが、マリナーズの菊池雄星選手のお父さんの菊池雄次さんのご隠居につきお悔やみ申し上げます。

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